連載小説
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ビオラ章中編 ハルちゃん!
「・・・失礼な事、聞いてもいいですか?師匠」
ボクはビオラの横に並んで歩く。ゲームセンターを出て商店街の喫茶店に行っているらしい。
「なんだい?スリーサイズの話?」
「もう!男の子にそんな話をしちゃ駄目ですよっ!そうじゃなくて・・・やっぱり師匠は女の子ですよね。」
明太にも散々性別の話をされた。まあ、髪も短いし顔も若干男っぽいし・・・
「ってちょっとまてぇ!さっき『男の子に』って言ったぁ!?」
そのときビオラは「え?」みたいな顔をしてこちらを見る。なるほど明太もボクの性別をしった時こんな感じだった訳ね。
ようやくビオラは察したようだ。
「名前ですか?それとも声ですか?仕草ですか?改善しますから。」
「い、いや!ボクが思い込んでいただけだから!大丈夫だ!」
多分、女の子と間違われたのはショックだったのだろう。声を若干低めに喋るようになった。

喫茶店に入ろうとした時、中から同級ぐらいの茶髪のハデな服着たチャンネーが出てきた。そしてポケットに手を突っ込んでビオラに近寄る・・・
「おー、ハルじゃねぇか!最近ずっと学校来てねーからそろそろお前ん家お邪魔したんだけど・・・なんだ、遊びに行ってたのかよ」
殴る訳でもなく。暴言吐くわけでもなく。可愛がるようにフード越しに頭をわしゃわしゃ撫でたりフードに手を入れたほっぺた触ったり。
「『アイツ』最近また何かしてんのか!?何かあったらウチに言えよ!友達なんだからさ。」
「な、なんにもないよっ!大丈夫だから!」
ポンポンと頭を撫でた後にその不良っぽいのはボクにくっつくぐらい顔をちかづけてきた
「アンタ!ウチのハルに手ぇ出すなよ!?」
「この人は僕がやってるゲームの師匠だから。そんな人じゃないよ!」
「・・・まあ、それならいいんだけどよ・・・あ、そうだわハル。『もにゃ』の動画が更新されてるぞ。今回もやっぱいい歌声だわ。」
「ほんと!?ありがとう♪」
不良は手を振ってボクを睨んだ後何処かに行った




「ごめんなさい!ごめんなさいぃぃぃ!!!」
店に入った後、ビオラは何回も頭を下げてきた。最後の方はもうヘドバンだった。
「あの人は僕の高校の1人しかいない友達なんです・・・。悪い人じゃなくて僕を守ろうとしてくれたんですよ・・・」
「いや、別にいいんだ。いい人なのはわかるから。その前に聞かせてくれ。」
「・・・何故・・・メイド喫茶なんだ・・・」
そう、ここはメイド喫茶。さっきからずっとビオラが謝罪してくれているが内容が頭に入ってこない。メイドが気になる。ミニスカの、付け耳の。
「安くて美味しい、心が温まるメイド喫茶」
「周りの目は冷たいんじゃないか?」
うん、上手く返せた、と思う。
「そして僕の家ですよ。2階に自分の部屋がありますからついてきてください。」




本当にビオラの部屋が2階にあった。部屋は片付いていてシンプル。
「お茶持ってきますから待っててくださいね。」
と、ビオラが部屋を出た隙に春画を探す。男の子の部屋だからあるんじゃないか?
まずはクローゼット、こーゆー所って案外あったり・・・と1枚の紙切れ。
『怪物は消えろ』
一瞬ドキッとした。ボクが覗くことを知っていて置かれたものかと思った。
あった場所に戻して次。タンスの引き出し。服と服の間に・・・あれ、ノートがあった。ポエム?
しかし、開いて見てわかった。
酷い。
吐き気がする。
気持ち悪すぎて。
いけなかった、
本当に
ダメだ。
おかしくなってしまうような。

よくこれで、普通な顔している
何故、普通な顔している?
周りの人間も普通な顔している?
筆跡は全て別人。
いじめノート。
ボクは手が震える。これ以上部屋内を漁らないようにしよう。早く帰ってきて。なんだか背筋が気持ち悪い。そういえば壁、若干凹んでいる鼻を近付けると
「血の匂い・・・」
他にも凹みがある。怖くて泣けてくる。ホラーハウスかっ、1階メイドで2階ホラーなの?やめてよ!
カチャッ・・・
「お茶淹れま・・・わぁ!」
ボクは部屋に入ってきたビオラに飛びついた。お茶が服に付くが気にしない。
「ホラーハウスかよやめてよ怖いって無理だからごめんなさいはこっちだよ怨みあるのかやめてよほんとなに一人にしないで心臓止まるよ藁人形でもあるのかなんで連れてきたのさ幽霊いるんじゃない悪霊退散悪霊退散悪りょ・・・」
ギュッと頭を服に埋められて頭を撫でられて頭を撫でられる。
「よしよし・・・大丈夫ですよ。」
とても安心する心地良さでウトウトしてしまう。



「もう、見ちゃったんですか!」
「ああ、すまない。興味本意で・・・」
白状した。いや、白状するなって無理がある。
「そんなことしなくても春画なら机の本棚にあるでしょう。ついでにポエムも。」
あ、本当だ・・・ってなんで隠さないのだ。
「・・・これは中2の頃の話ですよ。僕、その頃は短い黒髪でした。しかし、ある日突然。僕の髪は銀色になっていました。ここまでを師匠、あなたは信じますか?」
「ああ、信じるよ。」
ボクも母から渡された薬(自分が吸血鬼というのを知らなかった時の血の代わりらしい)をずっと飲んでいたがある日急に倒れるようになってしまった。(あれはボクの吸血鬼の力が強くなっていき薬だけでは補給が足りなくなったせいらしい)
「その時の変化は髪の色だけではなく、額に空色の角が生えました。これをあなたは信じますか?」
「信じる」
「その時は角の仕舞い方がわからずそのままにしてて・・・それでイジメになっちゃって。転校は3回ほどしました。2回目の転校先でこれ貰っちゃいました。僕がいない間に机に入れたんじゃないですかね。3回目の転校先ではやっと角が仕舞えるようになりましたよ、髪の色も戻せるようになったし」
パラパラとノートをめくっていく。
「しかし、師匠でも見落としはあるみたいですね。最後まで見てないのでしょう?」
そう言いながら最後のページをこちらに見せてくる
『あんなやつらほっときなよ』
『ハルちゃんは優しいもんね』
『頑張ってね』
「知らない子が励ましてくれてます。暴言等を書いた子達が行ってしまった後、書いてくれたんでしょうね。」
「んで、今もイジメられているのか?」
あはは・・・と笑いながらビオラはフードの端を掴む。
「最近、おかしいんですよ。髪の色が銀のままで切っても切っても腰辺りまで伸びる、角も仕舞えないどころか成長するし。」
ビオラはフードを外す。
ビオラは話の中で髪の色を銀と言っていた。ボクは話を聞いている間、グレーっぽい色だから表現が銀色という風になるのだと思っていた。しかし、実際に銀色だ。銀に光っている。目の色はシトラス色。8cmぐらいの空色に輝く角。
「凄く空気の読めない発言していい?」
「どうぞ」
「可愛い」
「可愛くないですよ!」
何故か『可愛い』という言葉を嫌う。褒めてるのに。しかし涙目になるほど嫌なら止めておこう。
「これ、僕が思うにユニコーンとかの角じゃないかとおもってるんですよ。ところで、師匠も人じゃないんですか?」
「ああ、吸血鬼だ。見せないが」
「ちぇー。あ、そうだ!更新見なきゃ!」
ビオラは机の上にあるノートPCを開き何か調べ出す。
「『もにゃブロ』って知ってます?」
「1度だけ調べたことはある。」
自作の曲を楽譜に書いてピアノを弾く人・・・だったはず
「中3の頃の親友に似てるんですよ。」
ビオラが動画を再生する。

『はい〜♪こんばんちわですよ〜。この前掃除失敗して余計に散らかった『もにゃ』だよ〜♪』

「最中ちゃんじゃね!?」
・・・そうだ、思い出した。
どこかで最中ちゃんを見たことあると思っていたがそうか、この動画か!
「うげちゃんを知ってるんですか!?」
うげちゃん・・・多分、雨月幸(うげつさち)の略称だろうがネーミングセンスの欠片もない。
「高校の後輩だ。間違いなく最中ちゃんだろう。」
それを聞いたビオラちゃんはとても嬉しそうにしていた。
「懐かしいなぁ♪うげちゃんとはよく好きな曲とかの話をしました。あの子、成績は低いですけど音楽だけ5が付いてます。・・・やっぱりうげちゃん・・・♪今頃何してるんだろうなぁ」
「雨月幸様なら御主人様に相談事をなってるです。結構真剣な顔です。告白ですかね?」
「最中ちゃんが明太にぃ!?あり得ないってー。冗談が下手だなぁメルルちゃんったらぁ!?」
「なんで少女が僕の部屋に不法侵入してるんでしょうか!?」
ボクの隣に座ってボクのお茶を勝手に飲んでいるピンクのワンピースを着た灰色の髪の少女。
「『凄く空気の読めない発言していい?』の時から居たですよ。気づきませんでした?」
「なんでメルルちゃん居るの?」
「あー、その事ですけどね。髪の色と角を戻す方法を教えようかと思ってきたんです。まあ、方法は母様の所に付いてきてもらわないと行けないんですけどね。それとビオラ様でしたっけ?」
「先にネタバレです。それユニコーンではないです。」
「もっと厄介
 もっとも厄介」
「四霊獣の一体『麒麟』です。」











一方、明太家。
「ビオラちゃんはですね〜最初は特に何もなかったんですが〜・・・中3の頃、バレーの授業が終わった時、急に声を掛けてくれました〜。何故だと思いますか〜?」
「頑張ってたからか?」
最中は「正解はですね〜」と言いながら服の袖を捲る。最中の手首に刃物で切ったような跡ができている。
「バレーのスパイク打った時に手首が見えたようです〜。彼女は私に微笑んで」
『お揃いだね♪』
「そういってくれましたよ〜。嬉しくないはずの傷なのに・・・。それから私達は意気投合。一緒にカラオケ、お風呂(一緒に入りましたが何故か嫌そうでした〜)等、色々と遊びました〜」
「彼女には行きたい高校があったらしく私もそこを受けました。行きたいところなんてありませんし。まあ、後は察してくださいな〜。今行ってる高校は滑り止めです〜。」
「それから彼女とは話せていません〜。私からは話掛けにくいですよ〜!彼女は多分、私に失望してますね〜・・・。でも会いたいんですよっ〜!ちゃんっ・・・と謝っ・・らなき・・・ゃ。」
そう語っている最中は
泣いていた。
15/04/09 23:32更新 / イル
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■作者メッセージ
次は捕食入れなければっ!
なんだか最近捕食描写少なくなっている・・・
色々書きたい作品もあるんですよねー
・ヤンデレ夢予(消化表現(?))
・とあるキャラの過去編(ヒント、妖狐生徒会長!の作品に出てくるキャラ)
・神無と明太(リクエストのやつ)

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