読切小説
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プクリンの悩み

(ん…)


僕はギルドの弟子部屋で目を覚ました。


いつもと同じ日常が、始まろうとしている。


「おはようナエトル!今日は早起きだね」


隣で寝ていたのは僕のパートナーのアチャモ。


「ワタシはまだ眠いよ〜…あ、今日は早起きしたからドゴームはまだ来てないみたいだね」


二人でそんな話をしていると…。


「起きろォーっ!って、あれ?二匹とも、もう起きてるのか」


「うん、さっき起きたよ」


「…ほう、その眠そうな目を見ると、さては昨夜こっそり起きてたな?」


「なっ!そ、そんなことしてないわよ!」


アチャモは急に驚いて、怒ったようにそういう。


「あやしいなぁ、まぁ、いいか」


「うぅ…」


昨日はぐっすりと寝込んでいたので、アチャモが起きていたかどうかはわからない。


それにしても、なんで急に驚いたりしたんだろう…。


…まぁ、いいか。


「さてと、私達も行きましょ」


………


「さて…今日は一つ、みんなに連絡がある」


ペラップが真剣な顔で、みんなを見る。


「実は…おやかたさまの具合が良くないのだ…」


(えっ?)


おやかたさま…といえば…このギルドでは一匹しかない。


プクリンだ。


「お、おやかたさまの具合が悪いって…?」


「どうしちゃったんだ?」


みんなが騒ぎ始める。


「シッ、静かに!おやかたさまは、お腹の中で何かがゴロゴロしている感覚がする…とおっしゃった」


(お腹の中…ごろごろ…?)


僕は首を傾げる。


そんなこと、普通はありえないはずだ。


「そこでだ、ギルドのメンバーの中から、おやかたさまの体内に入って原因を調査するものを一名募集する」


「胃の中に入るのだ、胃液などには気をつけるように…」


今度はみんなひそひそ話をしだす。


(おい、おやかたさまの体内だってさ、お前、行くか?)


(僕はやだよぉ、お腹の中、恐いし…)


(オレも嫌だな…)


「…ねぇ、ワタシも行きたくないかな…」


アチャモが、突然弱気なことを言い出す。


まぁこうなっては、仕方ないことなのかもしれないが…。


(うーん、みんなが行かないなら、僕が行かないと駄目かな…)


とりあえず、行ってみることにする。


「おぉ、行ってくれるのか!それはありがたい!」


行くことをペラップに伝えると、ペラップは大喜びでプクリンのいる部屋に通される。


「おやかたさま、弟子のナエトルを連れて来ました」


(おい、さっさと行くんだ)


ペラップに急かされ、僕はプクリンと対面する。


プクリンは浮かない表情で、外を眺めている。


「…あ、君が僕の体の中を見てくれるんだよね?」


僕は、とりあえず頷く。



「ありがと、僕、前からお腹の中でゴロゴロしてるものがあって、眠れないんだ…」


(今から、そのごろごろしたものを取り除きに行くんだよな…あれ、帰りはどうすれば?)


「帰りのことは心配しなくてもいい、ワタシがなんとかするから♪」


(…心配だな)


よし、そろそろいこう。


「じゃあ、行くよ…」


プクリンは大きく口を開けると、僕を掴んで口内に入れ始める。


唾液が僕の体にまとわりつき、少し気持ち悪い。


しかし、それはすぐに終わりそうだ。


僕はすぐさま喉に送られ、狭そうな食道へ向かう。


ごくん…。


呑み込んだ音とともに、僕は食道に落ちる。


圧迫感を感じて苦しいし、少し怖い。


ずるるっ、どしゃ!


そして僕は狭い胃袋に収まり、胃壁をかき分けて進む。


すると、キラリと光るものが胃の中にあった。


(ん…?)


それをよく見てみると、赤い水晶球。


なんだかリンゴにも見えなくもない。


(あれ、もしかして…セカイイチと間違えて…?)


僕はその水晶を取り、胃壁を叩く。


「あ、見つかったんだね。じゃあ、吐き出すよ…」


先ほど来た道を逆戻りして、僕は吐き出された。


「おぉ、ほんとにやってくれるとは!」


ペラップは嬉しそうに僕に抱きつく。


体液が、ペラップにも少しついた。


「いや〜良かったです〜。おやかたさまが元気になって〜」


「ペラップもナエトルもありがとう。その水晶は、どうやら間違って呑み込んじゃったみたい♪あははっ♪」


(普通、そんなもの間違えて丸呑みになんてしないと思うけど…まぁいいか…)


僕はそのことをギルドのみんなに話すと、みんな僕のことをほめてくれ、アチャモもほめてくれた。


なんだか、今日は気分が良いな。

16/09/07 16:11更新 / 猫缶
■作者メッセージ
今回はおやかたさまのvoreです。

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