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第三話


「た、食べる…?」

聞こえてきた言葉が信じられなくて思わず聞き返した。
するとクロはあたしの反応を予想してたのか、すぐに頷いた。

「そ、それじゃ、結局………」

死んじゃうじゃない。
そう言おうとしたけど、あたしはその言葉を口に出せなかった。

クロが、あたしを抱くように自分の体に引き寄せたのだ。

「…『友達』だろ? 信じてくれ。俺はお前を傷つけない」

そう言うクロの体は、フワフワしてて暖かくて…とても優しかった。

「…うん」

きっと大丈夫だ。

自分にそう言い聞かせて返事をした。
するとクロはニヤリと笑い、

「それじゃ早速…♪」

と言ってあたしを舐めた。

「うひゃあっ!」

突然のことに驚いて悲鳴をあげてしまった。
クロはあたしの味が気に入ったのか、どこか嬉しそうな顔をしていた。

「い、今食べられるの!?」
「ああ。どうせ明日休みだろ?それに食われることに早く慣れた方がいい」
「うっ…。確かにそうだけど…」

今日は金曜日。
確かに翌日学校がある日に食べられるよりマシだけど…。
…正直、嫌なものは嫌だ。

「納得したなら一気にいくぞ」
「待って!まだ心の…」

クロはあたしが言い切る前にあたしを口の中へ入れてしまった。

「…うわぁ…」

クロの口の中は蒸し暑くて唾液でネトネトしていた。

「ちょっと我慢してくれな」

頭の中にクロの声が響く。
やっぱり妖怪なんだと感心していると、足元の舌が突然動き出した。

「…うひゃ……あぅ…」

動きは遅いけど、全身を這うように動く舌と慣れない環境のせいでどんどん体力が奪われていく。

気づくと、あたしはクロの唾液まみれになっていた。
少し動けばニチャニチャと嫌らしい音が響く。

「…大丈夫か?」
「…なんか、すごい疲れた…」
「そっか。ならゆっくり休んでくれ」

クロの声が聞こえたと思ったら、体が少しずつ下に向かって落ちていっていた。

呑み込まれるのは嫌だったけど、もう抵抗する気力は残っていなかった。
しばらくすると、頭が柔らかい肉にぶつかった。
と思ったら、ゴクン! と大きな音が耳元で聞こえた。
すると今度は、全身を軽く圧迫されながら、下に落ちていく。

疲れた体には、その圧迫はとても気持ちよくて、マッサージのように感じられた。

そのせいなのかは分からないけど、突然眠たくなってきた。
この後どうなるか心配だから起きていたかったけど、やっぱりこの睡魔には勝てそうになかった。

「…お……やす…み………」

薄れてく意識の中、最後にそれだけ言うとあたしの視界は完全に真っ暗になった。

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13/05/08 00:04 ラムネ

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