連載小説
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救いには試練を
それは、「気力」を与える事。
私達龍は、生き物や土地の目に見えない気の力で生きている。一部のの者はそれを魔力という力に換算させて、どこからともなく火や雷を出しているらしい。その気力は、普段から余るほど補給できる。だから、当然誰かに分け与えることもできる。ただ…その方法が、普通の生き物であれば怯えてしまう事。つまりは、「自らの体内で徐々に気を分け与える」事。なぜ体内に入れる必要があるのかというと、気力は水溶性があるから、体液と混じって気力を与えやすいんだとか。でも、一般的には捕食と呼ばれるらしくて、特に自分より小さい相手は怯えてしまう。そういえばリュウカも、風邪を治そうとして私がやったら、物凄く怯えていたっけ…。

って、今はそれどころじゃないんだった。
私は相手が目を覚まさない事を祈りつつ、上を向いて両手を使って一気に口の中に入れた。本当は味を楽しみたいところだけど、そうもいかない。だけど、とても甘い味がして、つい舌で相手を撫でてしまう。
「ぅ…」
微かに呻き声が聞こえて、はっと私は我に返った。そうだ、こんな事をしている場合じゃない。早く呑み込まないと。
相手を起こさないよう、慎重に慎重に呑み込んでいく。喉に時々つっかかって、一気に呑んでしまいたい気持ちにかられるけど、我慢我慢…!
そしてようやく、相手を体内に送る事ができた。私は体一杯に気力を溜めて、それを水溶する為にお腹を撫でて、体液を分泌させる。
「う…ここは…?」
ふと、お腹の方から声が聞こえた。きっと気力が戻って意識を取り戻したんだ。でも、今はまずい…!
「っ!?なにここ…まさか…!?
お願い、助けて…!!」
必死だけど諦め半分のようにも聞こえるその声は、とても弱々しくて、哀れみを感じずにはいられない。
「もうちょっとだけ、待って。後もう少しで、充分になるから…」
そう告げると、相手の方は「うん」と呟き程度の声で返した。

そして、だいぶ気力を与えられた頃になって私は、
「今から出すから、体の力を抜いていて」
と相手に言い、さっきと同じようにゆっくり戻していく。呑むときとは逆に、物凄く喉に負担がかかる。でもこれ以上相手に恐怖を与えたくないから、その苦痛を堪えながら、ようやく口内まで戻せた。そして出してやり、事前に添えていた手の内に相手を置く。肌はだいぶ肌色みを増して、体が元気になっていると分かった。
「…っ?」
相手は私を見るとぎょっとした表情でそのまま固まる。木の葉っぱのような綺麗な緑色の瞳だった。
「大丈夫だよ。もう呑んだりしないから」
そう言って優しく撫でようとすると、少し体が震えているのが分かった。それが寒さではなく、恐怖からである事は明白だった。
14/06/25 14:43更新 / 璃蘭
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■作者メッセージ
小説では初の捕食描写に挑戦したは良かったのですが、思ったよりもあまりよくないかもしれません…ごめんなさい。
こんなクオリティーでしか私は書けません。はい(笑)

ちなみに、気力に水溶性がある発想の元ですが、実は聖水(清水)です。神の加護があるもの→気力・聖水(清水)→気力が入っている水。というわけです(笑)

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