連載小説
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最中章 前編  ね〜

お昼休み。2年生の教室では
「おごってくれ」
「やだ」
取っ組み合って奢る話をしている明太と神無。周りからは「いつも飽きないな・・・」など日常茶飯事だと認識されるほど毎度の事である。が、しかし今日はいつもなら奢ってもらうまで離さないまるでスッポン魂である神無が離したのである。
「あ、そうだ。今日は奢ってもらわなくていい。その代わり2つ、お願いを聞いてくれないか。」
「金は出さないからな!」
そういうと神無は大丈夫大丈夫♪と言いながら人の寄り付かない非常階段まで明太を連れていった。
「血をちょうだい」
「やだ」
結局いつもと同じように取っ組み合いが始まる。
「結局血を奢れっていってんじゃねえかよ!」
「奢ってと言っている訳ではない。ちょうだいと言っているのだ。」
明太はクルリと腕を捻られ後ろに回される。
「わ、わかった!わかったから離せ!痛いから!」
「わーい♪明太大好きー♪」
すんなり手を離して向き合うかと思いきや後ろから抱きつかれた
「うおっと・・・急に抱きつ・・・だっ!ちょ痛い!」
首筋に鋭い痛みが走る。神無が噛みついたのだ
はむっ・・・ちゅっ・・・ちゅぅ・・・んっ・・・
血を吸われる内に首の痛みは少しずつ収まっていく。
(目の前もだんだん霞んで・・・って違う!痛みはだんだん麻痺してきてるのか!)
明太は慌てて神無を突き飛ばす。
「きゃっ!?」
その途端かなり酷い目眩がした。倒れないように膝を付く。
「馬鹿・・・!・・・量を考えろ・・・」
「すまない、理性を失いかけた。恐ろしいな・・・吸血鬼の力は・・・」
神無本人も驚いているようだ。しかし、今度はニヤッとして
「しかし、まあ、血というのはなかなか美味だな。味の感想等は聞かれても困るがな。表現しにくい味だ。」
明太は壁を使いながら立ち上がり膝に付いた埃を払う。
「・・・んで、次は?」
え?と神無は首をかしげる。
「ほら、2つお願いを聞けって言ってただろう。」
「ああ、そういうことか。もう一つは付いてきてほしい。」
「・・・どこに?」



「会いたい人がいる?」
「可愛い子なんだ。一人だと話し掛けづらくてな。髪が『くるくるふわふわ』ぽやーっとしてるのだ。・・・ここだ」
(くるくるふわふわ・・・俺も一回そんな表現をした人がいた気がする・・・)
そんなことを考えている内に目的地につく。
1ーA
普段2年の教室と3年の教室にしか行かない二人にとって1年の教室はかなり久しぶりだった。
「多分あの子だ。・・・寝てるな。」
スースーと机に伏せて寝ている。近付いても起きる気配は無い。確かに窓から差し込む陽気は眠気を誘う。
「耳元で思春期の子が反応しそうな言葉を囁くか。」
神無は耳元まで近付いて囁こうとするがそれを明太は止める。
「アホか!ピュアそうな女の子になんちゅう事を言う気だよ!」
結構声が大きかったようで「んぅ・・・」とその子が起きてしまう。
「・・・ん・・・え!!な、何ですか〜!?呼び出しですか〜!?根性焼きですか〜!?」
慌てて立ち上がろうとしたその子の頭は耳元で囁こうとした神無の額にぶつかった。
「「やあっ!?」」
痛みで悶絶する二人を見て明太は思わず笑ってしまう。
「何やってんだよお前ら・・・」



「ごめんなさい〜!!ビックリしました〜・・・顔を上げたら二人も先輩がいるなんて〜・・・」
ペコペコと頭を下げて謝る後輩。
「大丈夫だ。ボクも悪かったから。えーっと・・・名前を教えてくれるかな?」
「えっと〜・・・雨月幸 最中(うげつさち もなか)です〜。神無先輩はわかります。先輩はこの学校の情報屋さんで有名ですから〜。でもその隣の方は・・・あ!この前階段でぶつかった・・・あの時はすみませんでした〜!!」
あれはぶつかったというより降ってきたんだ。と明太は思ったが口には出さなかった。
「俺は明太だ。この前のは大丈夫だ。」
可愛い小動物を見るような目で最中を見る神無。
「えっと・・・それで用件は・・・?」
「・・・仲良くしようということだ。そして仲良くなった明太と、もなかちゃんは・・・!「よいではないかよいではないか!」「困ります〜!明太先輩!」「へっへっへ・・・もう我慢できねえぜ」・・・」
「目の前で変なの捏造すんな!雨月幸もドン引・・・あれ?」
口元を抑えてすごく笑っている。てっきり気持ち悪くなったのかと思ったが・・・
「ふふっ・・・♪お二人とも仲が良いんですね〜。羨ましいです〜♪」
その時昼休みが終わりのチャイムが鳴った。
「おっと!ほら神無!戻るぞ!」
「はいはーい。んじゃ、もなかちゃんバイバーイ!」
走りながら手を振り教室を後にする神無と明太。その後ろ姿を見ながら最中は呟く。
「いいなぁ〜・・・」
15/06/23 23:19更新 / イル
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