連載小説
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神無章 後編 きみのうしろに
「危ないです〜!」
保健室から抜け帰ろうと鞄を取りに階段を上がろうとした時、上から高めの声がした。
「ん?あっ・・・」
ガタガタン!!
上からダンボールと一緒に小柄な少女が降ってきた。急すぎて避けることもできずに下敷きになってしまった。
「ご、ごめんなさいぃ〜!大丈夫ですか!?」
「大丈夫だ・・・。そっちは?」
「ダンボールのお陰でアタシは大丈夫です〜♪」
元気な事をアピールしようとその場でピョンコピョンコと跳ねるが、ダンボールの端を踏み滑り(ワックスかけたてでした)・・・
「ぐえっ・・・」
見事お尻から俺の上に着地。
「ごめんなさいぃ〜!!・・・あれ〜?」
何故かクンクンと俺の方に鼻を近付けてスンスンと嗅ぐ
「・・・この匂いは・・・そんな感じがしませんね〜・・・いやいや・・・でも・・・」
顔と顔がかなり近くなったので「やめぃ」と少女の額を押す。
「・・・ああぁ〜!ごめんなさい〜!」
「俺、汗臭いか?」
そう聞くと首と手を激しく横に振り
「違います〜!ごめんなさい〜!」
と言いながらダンボールを拾い走って行ってしまった。





「はぁー・・・何なんだよまったく」
家に帰宅後、お風呂に入り歯を磨き布団の上で大の字になりながら呟く。神無は倒れるし少女は降ってくるし散々である。
「今日はメルルも居ないし静かに寝れるな」
メルルとは俺の飼っている犬・・・じゃない、狼である。人の姿になる事もあり狼の姿になる事もある。俺を御主人様と呼びかなり仕事をしてくれる(掃除 洗濯 炊事)メイド服のいい子である。現在メルルは「母親の所に帰るのです!」とか言って家に居ない。
ブーン!ブーン!
ケータイが震動する。急だったので少しビクッとなった。
『ボクだよ、ボクボクボクボクボクボクボクボクボクボクは何処だろう?何処?何処?何処?何処?何処?何処?そうか・・・君の                         後ろだよ』
振り返ると・・・
「ぎゃあああああああああああぁぁぁぁ!」
近所迷惑になるような叫び声をあげた。
後ろには・・・
「やあ明太♪驚いたか?」
窓に張り付いた神無がいた。




「呪いのメールみたいだからやめてくれよ!マジで!!」
部屋に神無を入れて正座で向き合う形になる。俺は、涙目でダンダン!と床を叩く。
「怖いのが嫌いなのは知っていたがそこまでとは・・・すまなかった。御詫びに胸を触らせてやろう。ほれ」
「いつからお前の中で俺は変態になったんだよ!・・・というか何でこんな時間に来たんだ?」
それまで笑っていた神無は表情を曇らせた。
「言いたいことが2つあってな・・・1つは、今日はすまなかった。黙っていたこと。」
なんだ・・・そんなことか
「それはいいんだよ。だって俺が気付かないのが悪いんだし。気にすんな」
「もう1つは・・・今までありがとう。」
「は?何その今日までで関係終わりみたいな言い方は。」
神無は立ち上がり2歩下がった。
「そういうことだ、すまぬ。これは明太の為だ、だから・・・」
一瞬、俺は神無を殴りたくなった。しかしそれを抑える。
「ふざけんな。何言ってんだ!」
「・・・じゃあ逃げないで。」
「は?」
いつもより静かな神無の声。消えそうな声で逃げないでと言った。
「もう嫌だよ・・・ボクは君達とは違う。うまく過ごせるわけがないよ。だってボクは・・・ボクは・・・人の血を吸って生きる種族。吸血鬼だからっ・・・!」
神無は鬱病の人の様な顔をしている。が、しかし。俺は実を言うと驚いたには驚いたがメルルのお陰(拾った犬は犬ではない!参照)で飛び上がる程驚きはしない。元々変わった雰囲気を持った人だからそんな感じだろうとはおもっていた。
「逃げないで。お願いだから。」
神無の体が白く光る。徐々に大きくなっていき3m程になり光が止んだ。
赤黒く大きな翼に鋭い爪。細く長い牙。赤く伸びた尻尾。見た者を震え上がらせる紅く紅く紅い眼。アニメやマンガ等で見る吸血鬼とは似ていない獣の姿。
「わかっただろう。ボクと一緒にいると明太はいつかボクに血を吸われ死んでしまう。」
「神無。安心してくれ。俺はお前ならどんな姿しててもいいと思う。人間の姿でも吸血鬼の姿でも。だからいつもみたいに笑ってよ。神無らしくないからさ・・・」
「なあ、明太。泣いていいか?」
「いいぞ」
赤い、血に濡れたようなとても大きな手が俺の背中に当たる。そしてその後の泣き声はいつまでも俺の脳内に保存されているであろう。




しばらく神無に抱かれて(握られて?)いると
「・・・何で驚かないのだ?」
「今は居ないが俺の家にはメルルって名前の犬がいるんだがそいつが実は狼でしかも人間の姿と狼の姿になる性能付きなんだよ。」
「そうか。ボクはその子に助けられているのだな。」
確かに。もしメルルが俺の所に来ていなければ神無が吸血鬼と言った瞬間逃げていたかもしれない。
「ところでさ、何か吸血鬼って人の形をしてると思ったんだが。」
「ボクはホムンクルスという人工生命体。それの吸血鬼型だから人間の姿の吸血鬼ではないのだと母から今日全て聞いた。血を吐いたり倒れていたのは今まで食事は血の代わりになる薬があるのだがその薬を体が受け付けないから吐いていたらしい。」
これは少し驚いた。人工生命体か。それは確かに俺達とは違う。そこも神無は気にしていたのだろうな。
「・・・明太。お願い、血を少し。」
「お前が血を吸って俺を殺してしまうとか不安がってたんだろうが!」
と反論したがベッドに押し倒された。
「いいじゃないか少しくらい」
「離せぇ!嫌だ!注射嫌いー!」
その時だった。俺も神無も触っていないから開くはずのない窓が勝手に開く。
「御主人様♪ただいま戻りま、し・・・?」
メルルが帰ってきた。救世主だ。
「メルル助けて!神無が襲ってきた!」
すぐにメルルが慌てて
「お、お楽しみ中でしたか!!失礼いたしました!!!」
窓から飛び降りた。いや、違うから。押し倒されてるけどお楽しみとかじゃないから。違うから。




「違うなら違うと早く言うです!」
慌ててメルルを呼び戻す。事情を説明するとあっさり納得した。
「この子がメルルちゃん?可愛い♪」
「メルル、気を付けろ。食われるぞ。」
メルルは既に逃げる体勢をとっている。
「さあ、明太。続きだ!血を吸うから!あ、生気を奪うだけの丸呑みでもいいぞ。」
あ、ピーンと来た。良いこと考えた。
「なあ神無」
「何だ。」
「メルル可愛いか?」
「とても可愛いな」
食いついた。いいぞー、もっと食いつけ。
「食べちゃいたいくらい?」
「そうだな。食べちゃいたいくらいだなぁ♪」
「ということだメルル。ガンバレ♪」
俺は全力で部屋から飛び出た。










メルル視点でお送り


「御主人様!」
私も後を追って部屋から出ようとしたが体を捕まれた。
「ということだメルルちゃん。明太からokが出てしまったな。」
・・・うぅっ。御主人様後で覚えててください・・・
ベロォ・・・
「ひゃんっ!?」
肉厚な舌で舐められます。両手でお椀を作るようにして、その中にいる私を弾力のある柔らかな舌でペチョッペチョッと味わうように這う。
「どうかな?気持ちいいかい?」
「全然です・・・もう解放して」
自慢のメイド服がぐちょぐちょですよ。もう、洗うの大変なのに。
「満足してもらわなきゃだめだからな♪次は、こうだっ!」
ポイッとくちの中に放り込まれ入り口が消える。口を閉じたようです。舌がキュッと私を締め付けてくる。グニュグニュと温かい温度の肉が体全体を覆い不覚にも気持ちいいと思ってしまう。
「どうかなこれでも気持ち良くない?」
「ぜ、全然です・・・っ」
「そっか♪じゃあちょっと激しくする♪」
急に舌が暴れ出し私を舌で、唾液の溜まった場所に入れ混ぜたり頬肉に埋めたり擦ったりしてくる。
ベチョッ・・・レロレロ・・・あぅ・・・そんなとこまでっ///・・・ネチョッ・・・やっ・・・くすぐったい・・・ヌリュッ・・・ヌルヌル・・・
「どう?」
ぐったりと舌の上で倒れる私。息が上がり顔は紅潮している。
「気持ちいい・・・です」
「はい、よく言えました♪これはご褒美だよ」
口内が傾く私はどんどんと落ちていく
「や、やだっ!出してよぉ!お願いです・・・まっ・・・」
ごくん




ドチャリと胃袋に落ちてすぐに私は壁を叩く。
「嫌です!出して!消化されるなんて・・・」
胃壁を叩く手が異様に滑る。もしかして・・・手が若干消化されている?
「叩いたりしたら消化が早まってしまうぞ?」
感覚も麻痺してきて・・・意識も途切れそ・・・う・・・








翌日。
「御主人様ぁーーーー!」
あの後吐き出された私は朝まで神無さんに包まれて寝ていて。朝早くに神無さんは家に戻って行きました。
「私を身代わりに逃げるという事はどーゆー事です?」
すまなかった、とか、ゆるして、とかじゃ許さないです。
「ケーキ買うから、ゴメン」
し、仕方ないですねっ!ケーキに釣られた訳じゃないですっ!すまなかった、とか、ゆるして、じゃなかったからいいんですっ!ケーキじゃないですよっ!?わかりましたね!?
14/12/24 23:42更新 / イル
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