連載小説
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神無章 前編おごってくれ

「やっちまったなぁ・・・」
いつもよりザワザワ声の多い昼休みに俺、明太(みょうた)は呟く。
「ねぇねぇ私数学高いよ!」
「えー、マジー!?でも私だって英語良いよ」
俺の前席が友達に点数とか自慢している。俺もあれぐらい良い点取れればなあ・・・
「まあそういう時もあるさ、だろう明太。」
肩にポンと手を置かれフォローを受ける。誰かと思い振り向くと
「神無(かんな)先輩か。先輩はどうなんです?」
んんー・・・そうだなぁと神無先輩は考えて
「ああ、ボクは高校生にもなって漏らしたりしてないぞ。」
「いつから漏らしたとかそういう話してるんだよ!つーか俺もねぇよ!テストだ!」
神無先輩はキョトンとして顔で
「んん?さっき「やっちまった」って聴こえたからてっきりトイレ行きそびれかと。ちなみにボクは全ての教科において70点以下はない。」
・・・こんなにもバカそうな先輩に負けるとは・・・。というかさっきのフォロー、実はかなり嬉しかったのにな。
「という訳で明太、奢れ。」
何が『という訳で』だ!この先輩と仲良くなってからこれで30回以上奢っている。
「良いではないか!頼む!金欠なのだ」
俺の手を強引に引っ張り立たせたあと足を掛け、神無先輩の腕が俺のこめかみを締め付けている。ヘッドロックだ
「それが人に物を頼む態度か!」
「世の中はギブアンドテイク。代わりに教えてあげるから!」
この流れ的には教えるというのは勉強だろう。
「完璧なカンニングの仕方をっ!」
「いるかボケ!」
左手で神無先輩の腹を肘で打ち、足を払い右手で手首を持ち左手で胸ぐらを掴み・・・投げた。
畳ではないから大丈夫かと心配したが流石は神無先輩である。きちんと受け身をとっていた。
「うう・・・わかった・・・。自分で買う」
手を差し出すと「よいしょ」と言いながら立ち上がる。
「いいですよ、わかりましたよ!買いますよ!まったく・・・」
シュンとした顔は見たくないから・・・まあいい。
「流石だ明太♪ありがとう♪」
満面の笑みで腕に抱き付いてくる。まったく・・・俺は甘いな、毎度嫌だとは言うが結局奢っている。
この先輩。神無とは1年前からの縁である。何故仲が良いのかは忘れたがいつもこんな感じである。神無先輩は俺よりも背が高く(164cm?)瞳がかなり明るい茶色。女々しい・・・声が中性的で髪も肩まで伸びている(校則違反だろ。)女の好みはおっとり系だとか言ってた。興味ねぇよ。俺は2年で神無先輩は3年。

俺達は購買であんぱん買って3年の教室に行く(連れてかれた)
「俺2年の教室で食うんで」
「いいじゃないかここで食べれば」
もくもくとあんぱんを自分の席で食べる神無。座るとこ無いよ俺。
「ああ、座るとこなかったね。 底羅(ていら)ー!席借りるよ」
「おー、いいぞー♪」
と、底羅と言う人の声が聴こえる。というか底羅?聞いたことある気がする名前だけど・・・まあいい
「それにしても明太は優しいのだな、惚れるかも。あんぱんうま。しかも奢ってもらえた物だから更にうま。」
・・・神無の将来大丈夫だろうか。男同士で付き合うのかよ。
「神無先輩はあんぱん好きなのか?」
「あんぱんが好きという訳ではなくて甘いものが好きなのだ。覚えておいてそんはない。女は甘党が多い。」
「自分が女みたいに言うな」
俺がツッコミを入れるとムスッとした顔をしてとんでもないことを言った
「女が自分を女と言って何が悪いのだ。」
・・・ん?会話が5秒程止まり辺りの声がよく聴こえる。
「・・・はああぁぁぁ!?!?」
思わず声を上げてしまった。上げなければならない程にビックリした。
「急にどうしたのだ。ビックリするだろう」
辺りが静まり・・・視線もこちらに向いている。
急いで神無先輩の手を引っ張って教室を出た。



すぐ近くの廊下に連れて行き質問をする。
「女!?」
「女」
「♀!?」
「♀」
「Are you girl?」
「Yes,I am」
どんな聞き方をしても全て神無は女だと答える。
「girl?と聞いてきたがボクは少女という程小さくない気がする。」
会話の中で気になった一人称『ボク』
俺は神無を『先輩』というその人物を尊敬する2文字を付けずに質問する(本人もそれを望んでいるし)
「じゃあ!なんで一人称が『ボク』なんですか!?」
そう聞くと神無は鼻高々に胸を張り言った。
「ボクっ娘は希少価値が高いからな。」
紛らわしぃんだよ!希少価値とかどうでもいい!
「じゃあなんで俺に女の好みはおっとり系がいいとか言った!」
その質問に対し神無は首を傾けた
「じゃあ聞くが、君は男子が「ボク、実はガチムチ系の男が好きなんだ!」と言ってそれをおかしいと思うのか?」
すかさず俺は答える。
「おかしいに決まってんだろーが!」
「明太はボクを男と思っていたのか。成程。別に関係無いとボクは思うが」
関係無いわけない。1年間騙された気分だ。
「関係無いわけ無い!」
そう怒鳴った時。いつものシュンとした顔とは全く違う暗い顔をした
「・・・すまない。知っていると思っていた。本当にすまない!」
そう言い俺から顔を背け走り去ろうとした時、神無先輩に異変が起きフラフラと両膝を付き咳き込みだした。
「・・・!!ケホッ!ケホ!グッ・・・」
「神無!?大丈夫か!?」
側に行き肩を触ろうとした瞬間手を払われた。
「大丈夫だ・・・少し咳き込んだだけ・・・」
しかし、そのあとバタッ!と倒れてしまった
「神無!」
肩を揺すっても返事がない。どうやら嘘ではないらしい。保健室に運ぼうと手に触ったとき。少しベタッとした。手を見ると
「・・・血・・・」
顔を見ると青白い。唇から少し血が出ており閉じた目からも血が流れている。
その時、さっき教室で席を借りた底羅が通り掛かった。
「底羅先輩手伝ってください!神無が倒れました!」
かなり落ち着いた様子で「わかった」と言い。神無を抱き階段を降りる。
「お前は保健の教師に伝えな。大丈夫だ神無と言えば伝わるから。毎度の事だし気にするな。伝えたら次の授業に早く行きな」
毎度の事・・・?よく倒れているのだろうか・・・




「よくわからない。倒れる理由が」
放課後。神無は一度起きたらしいが、保健の教師に安静にしろと言われたので寝たらしい。保健の教師に聞くとやはり毎度来ているようだ。
「職員室に戻る。仕事あるし。電話して、何かあったら」
・・・喋り方が変わった先生である。ガラガラと保健室から出ていった。
「底羅先輩も知らないんですか?」
「保健の教師が知らないのに何でウチが知ってるって思うんだか・・・。ウチは知らない」
そう言った底羅先輩の目を俺は信じない。この人嘘が下手だ。目が泳いでいる
「嘘はいけませんよ」
また目が泳いだ。しばらく見ているとハアッと溜め息をつき
「・・・知らないのは嘘じゃあない知ってる可能性があるだけだ。・・・神無の事実。受け止めてやれよ」
そういいながら底羅先輩はケータイをいじる。そしてそれを耳に当て
「もしもし・・・ウチだよウチ・・・詐欺じゃないってば・・・うん、・・・うん・・・今日遅くなるから・・・ゴメン・・・」
どうやら家族に電話のようだ。終わって電話を切ると俺に微笑みかけて
「お前はもう帰んな。喧嘩してるんじゃ起きた時気まずいだろ。」
「ああ、はい。では・・・」
俺は保健室を出た








「すまない。底羅」
「いいさ別に。ところでなんで倒れるんだ」
「お母さんが何か知ってるっぽいけどはぐらかされてる。・・・今日こそ絶対聞かなければ・・・」
15/06/23 23:17更新 / イル
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