読切小説
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拾った犬は犬ではない!
チュン・・・チュンチュン・・・
雀の鳴き声で目覚める。しかし冬場の布団というのは出ようとしても出ることができないもの。掛け布団を頭まで被り、枕に顔を埋め二度寝という名の幸せを味わおうとするのだが
ペロペロ・・・
「・・・いつもお前は邪魔をするんだよなぁ・・・メルル」
飼い犬メルルによってその行為を阻止されてしまう。これが俺の約1年間の毎朝だ


「おはよう明太。寒いなー。」
ぼさぼさ髪のままリビングに出る。と父親も丁度今起きたところらしく欠伸をしながら椅子に座っていた。
「そうかな?あんま寒くないけどな」
「そうか、お前は抱いて寝る女がいるから寒くないのか」
「・・・他人が聞いたら誤解を招く言い方しないでくれ」
はっはっは、と笑う父親。メルルは女じゃなくて雌。中型犬。
「そういやこの前のテストどうだったんだ?」
「下から数えた方が早い」
「友達に勉強教えてもらえよ・・・」
「友達いないし」
「2年生になったのに友達いない高校生活どんだけ!?」
毎朝こんな感じのくだらない会話をする。家族とのコミュニケーションは大切だと思う高校生は少ないと思う俺。
「明太、そろそろ時間じゃないのか?」
「ああ、歯を磨いて顔洗ったら行ってくる」



メルルとの出会いは近くの森を歩いていたときだった。かなり痩せた小さな犬がぐったりしていて、それに餌をあげたらなついた。そのまま持って帰ったら母に怒られたが父が母を説得してくれて飼うことを許してくれた。で、普通に餌やって約1年間したら子犬が俺と同じぐらいのサイズになった。あら不思議。しかしまあ飼って良かったと思ったことだってある。部屋の中で飼っているから毛がすごく舞う。だからきちんと掃除をするようになった。その掃除のついでに机の上を片付けたりする。メルルを飼わなければ掃除なんて一度もしなかっただろう。

「どうしたのだ明太(みょうた)君?そんな考え事してるみたいな顔をして」
「神無(かんな)先輩か、おはようございます。いえ、家にいる犬の事を考えていただけです」
黒い学生服がとても似合うこの先輩は神無。肩まである髪が歩く度に揺れる。ん?友達はいないんじゃないかって?友達ではなく先輩だ。「私に上下関係などない。親しく下の名前で神無と呼べ勿論『先輩』など堅苦しい呼びなはするな」と言っているが先輩と呼んでいる。この人はなんとなく秘密が多い気がする
「・・・その髪、校則違反じゃないんですか」
「髪を縛れば校則では良いのだぞ?これは中学生の頃から一緒だろう」
「それは女子だろっ!」









「ふぃー。ただいまメルル。」
「くぅん・・・」
放課後、帰宅部の俺はすぐに家に帰り自分の部屋でいつものようにメルルに「ただいま」を言う。「寂しかったのだぞ」と言わんばかりに俺に飛び付き舐めまくる。
「あ、そういえばメルル、お前明日で出会って丁度一年だな。明日誕生日プレゼント買わないとなぁ♪」
そういうと尻尾をブンブン振って嬉しそうにする。
遠吠えと唸るのはあるが、俺はこいつがワンと吠えるのを聞いたことがない。
「よし!散歩いこ、散歩!」
そして俺とメルルは7時まで散歩をし、ご飯を食べ、お風呂に入って(メルルも洗う)就寝した。





「起きてくださいご主人様、おーい。ごーしゅーじーんさーまー!」
日曜日だというのにゆっさゆっさと肩を揺らされ目が覚める。いつもとは違う起こされ方だ。
「メルル・・・今日日曜日・・・」
「だめっ!今日メルのたんじょーび!起きるのですっ!」
・・・ん?
俺は違和感が仕事をしている事に今気がついた。俺起こしてんのだれだよっ!
「お、お嬢ちゃん?不法侵入ってわかるかな?」
「不法侵入とは失礼ですね。メルはご主人様の狼ですっ」
ぷんすか怒っているこの少女・・・頭大丈夫だろうか。
「あ、信じてないですっ!証拠も見せましょう」
犬が人間になるって・・・いや、まあ俺の友達の友達にも狐の獣人とかいるけど・・・それたら1年間も黙っとく必要ないというか・・・
俺はこの少女がメルルだということを信じていなかった。しかし、少女が言ったその『証拠』で俺は信じなければいけなくなった
「永白 明太(えいしろの みょうた)好きな色は赤。幽霊嫌い。可愛いものが好き。食べ物は和風より洋風・・・」
ここまでは普通。信用が得られるものではない。しかし次だ・・・次、この少女から発せられた言葉を聞いて「あ、ぜったいコイツはメルルだ」と思った。
「猫耳とか犬耳とかうさみみとかの女の子が好きで自分の部屋にあるタンスの服と服の間に、学校一の情報屋の神無さんには勿論の事、ご主人様の母や父にも見事見つかっていな「信じていたよメルル!」
「嘘乙」
「しかし何故その姿になれるの黙っていたんだ?」
そう言うと急に黙って目を合わせなくなってしまう。
「あの・・・そのぉ・・・」
言葉がでるのに時間がかかった。
「追い出されるんじゃないかと・・・。いえ、違いますね。追い出されても別に山へ帰ればお母様がいますし良いのですけど・・・。ご主人に嫌われたくなくてですね・・・で、ですけどっ!やっぱりこの姿になれる事も知ってて欲しかったし・・・けどっ!」
「メルル」
俺が名前を呼ぶとメルルはビクッとなった。俺からどんな言葉が出るのか正座しながら震えていた。
「・・・あと5分寝かせて」
「さっきまでの雰囲気どこいったですっ!」
と、まあメルルの緊張を解したところで
「誕生日おめでとう」
不意を突いて言ったせいかとても驚かれた。
「ふぇっ!?あ、ありがとうございます・・・。そ、それでメルは・・・」
「メルルが良いならこの家に居てくれ。親は俺が説得するから」
メルルの表情がぱあぁっと明るくなった。
「ところでお前、母親がいるのか?犬種は?」
「いますよ。たまに夜中山まで会いに行きますよ?それと犬種とか言ってますけど」
その時メルルの笑顔が恐ろしく見えた
「メル・・・狼なのです」
恐い恐い恐い!!怒ってるよこれ!自分より下の奴等と一緒にすんな見たいな顔してる!
「はぁ・・・以後、メルを犬扱いしたら怒ります。」
「気を付けまする・・・」
俺は布団から出て欠伸をする。日曜日なのにこんな時間に起こしやがって・・・あ、忘れてた
「スマン。誕生日プレゼント買うの忘れてた。何が欲しんだ?高いのはパス」
ふっふっふ・・・とメルルが笑う。
「いえいえ、お金はかかりませんよ。メルは安い女なので!実際、メルを飼うのも無料ですし」
確かに安い女である。
「欲しい物はズバリご主人様っ!」
「体か?」
「そうですけど・・・なんか誤解を招く言い方ですよね。メルはご主人様を食べたいのですっ!」
言いたいことはわかる。さっき友達の友達に狐獣人がいると言ったがこの狐獣人には恋人がいてそいつをよく食べている。しかし、メルルをいじるために、とぼけているのだ。
「だから、こう・・・ご主人様をパックンと一飲みにするんですっ!」
身振り手振りで伝えてくる。そろそろちゃんと答えてやらんとな。
「はいはいわかった。下は脱がないけど上は脱ごうか?」
流石に高校生。下を脱ぐとか絶対無理。俺が上を脱ごうとした時。メルルが飛び掛かってきた!
「ご主人様・・・!メル我慢の限界ですっ!今までは首や頬を舐めるだけでしたが今回は覚悟してくださいよ?」
妖しく光る眼。狩りをする狼だ。そしてメルルの体が大きい。恐らくこの家に住むには大きすぎるためサイズを変えていたのだと思う(多分)
ベチャッと舌が胸に押し付けられる。次にヌルヌルと右腕に、そして左腕にとアイスの様に舐め回す。ナメクジが這い回っているみたいで気持ち悪い。
「ふふっ♪気持ち悪いみたいな顔をしてるですよっ?すぐに気持ちよくなれますよ♪」
ペチャッペチャツ・・・♪
腹から胸へ、脇腹。そうして舐められている内に少しくすぐったいような気持ちになり気持ちいいと感じてしまった。メルルは興奮で息が上がっている。ゆっくりとそしてルールがあるかのように縦や横に動いていた舌がどんどんとペースが上がって舐め方も荒くなっていき最後は舌が身体中を暴れていた。
「ちょ、スト・・・ぷぇえ」
ストップと言いたかったのだが顔も荒く舐められ唾液が口に入った。獣臭ぇ
一旦逃げようと思ったがガッチリ拘束されているので動けない。
「ハァ・・・ハァさぁご主人様ぁ・・・ハァハァ今度はメルのお口でモグモグですっ♪」
下半身から口の中に収まって行く。湿って生暖かく獣の臭いがする口内はかなり広かった。
「ご主人・・・飴玉みたい♪美味しいですっ」
ペチャッ・・・ペチャペチャチュパッ♪
器用に口の中で転がしたり唾液に漬けたり。その時のメルルはどんな顔をしていたのだろうか。
舌の動きが止まった。
「ご主人様、相手に口の中で舐められるなんて初めてですよねぇ♪でもご主人様?もうひとつ初めての事が♪」
ネチャネチャと足がさっきよりも粘着力ある何かに捕まれる。
「胃袋に納められちゃうんですよ?くすくすっ♪温かいヌルヌルした液でご主人様を歓迎しますっ♪」
どんどんグプグプと引き込まれ沈んでいく・・・
体力を消耗して思考回路が働かない俺。しかし喉の肉に首まで飲まれたとき一つだけ考えたことがあった。
(どうやって喋ってんだよ)
ゴクリと音がして俺はメルルに飲み込まれた。


食道の肉は俺を潰すのではないかと思うほどの強さだった。どんどんとメルルの匂いが濃くなっていく。
ベッチョリと俺は胃袋に落ちた。俺を休ませる気は全く無いようですぐに胃壁で揉みくちゃにされる。
ムチュムチュ・・・グチョッ
気持ちいい、俺はそう思った。
「なあ、お前は狼なのになんで人間の姿になれるんだ?」
「魔力を持つこの大地に生まれたのですから不思議な事ではありませんよ。ちなみに母様は普通に狼ですよっ。」
胃袋内にメルルの声が響いた。母は普通なのか
「なあ、お前が俺を食いたいと思うのって今日だけじゃないと思うんだよ」
「はい、常に思っています」
常にかよっ!それは無理だな・・・
「俺が暇な時は・・・食ってもいいぞ・・・暇な時だぞ!?」
「多分了承を得なくても食べますね。」
「その日は一日中飯抜きで」
なんてやりとりをしていると眠くなってくる。
「寝ても良いですよ晩には起こします」
それが聞こえるとすぐに視界が暗くなる。







次の日。

「なんだその格好!?」
朝起きるとメルルが台所で味噌汁作ってた。メイド服で。
「メルの母様がね「ご主人様と呼ぶのとメイド服は最強コンボよ☆」って」
普通じゃ無ェじゃねえかメルルの母親・・・
16/01/31 22:32更新 / イル
■作者メッセージ
明太と神無は機会があれば連載で出そうと思ってます。はい

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