駆除

:: 駆除

ここはカリフォルニアのある農家
その農家はある事に困っていた。
商売品の木の実がフシデの大繁殖によりその一本分が食べられてしまった。
「フシデの野郎殺しても殺しても増えてきやがる。」
そこでその農家の男は息子に一日50ドルでフシデの駆除をやらせた。息子のオリバーはストレスも解消できて一石二鳥だと思っていた。

父親が農作業をしているときにオリバーはその木に集っているフシデを拳銃で撃ち落としていった。木を埋め尽くすほどのフシデの半分を駆除し終わった。
「こんだけいりゃ実もダメになるはずだ。」
オリバーは死んだフシデの群れを掻き集めてガソリンを掛けて火をつけて燃やした。
「今日はここまでだな。」
そう言って家の中に戻っていった。

オリバーは父親に今日どれだけ駆除したのか話した。
「よくやったオリバー。ほら、報酬だ。明日も頼んだぞ。」

翌日オリバーは家のガレージからショットガンを取り出してきた。
それをクリーニングして弾を込めてフシデやホイーガを撃ち落とす。フシデたちはそんな愚か者に攻撃しようとするのだがその前に撃ち落とされてしまった。
そのとき、彼の足元に違和感を覚えた。
「何だ?」
見るとフシデが悲しそうな目をしてオリバーを見上げていた。まるで、もうやめてというように。
しかし、オリバーは拳銃を取り出し、そのフシデに向けた。
「残念だが、俺は虫が大嫌いでね。」
バンッ
銃弾はフシデの頬を掠って血を滲ませた。
「失せろ!」
そのフシデは森の方へ逃げていった。
オリバーはその木の害虫を全て駆除した。
そして今日も駆除したフシデたちを燃やした。

また次の日、オリバーはショットガンを持ってその木をチェックした。木には一匹たりともフシデは付いておらず、黄色の実をいっぱいに付けていた。
「良し、害虫はいないな。」
オリバーが家に戻ろうとしたときだった。隣の茂みがガサっと動いた。
だが、彼は気のせいだと思って歩き始めた。
彼はまだ気が付いていなかった。あのとき、彼が素直にその愚かなことをやめていれば…
その茂みから出てきて彼の前に現れたその大きな体を持ったポケモンはペンドラーだった。オリバーはキョトンとした顔をしていた。
「何だ、貴様は?」
「ここにいたフシデたちを全部殺してしまったのね。」
オリバーは目の前のポケモンが普通に英語を話したことに驚いた。
「お前、しゃべれるのか?」
「ええ、もちろんよ。次に私の質問に答えて。」
彼は不思議に思いながらも聞こうとした。
「何故、私の仲間を虐殺したの?」
「お前、フシデの仲間だったのか?…殺したのはフシデが木の葉を食い荒らすからだ。そうすると品物の木の実が育たなくなっちまうんだ。」
「私達も生きていくにはそのような葉っぱが必要なのよ。」
「お前たちはな俺たちからしたら害虫なんだ。駆除しなければいけないんだ。」
「く…くじょ?どういう意味?」
「駆除は害虫を殺すという意味だ。」
「なるほど。じゃあ…」
ペンドラーはオリバーの方に向かってきた。
オリバーは間一髪で避けた。
「何すんだよ⁉」
「決まってるでしょ『駆除』よ。」
「俺を殺す気か⁉」
「もちろん。」
「それなら、お前も痛い目に合うぞ。」
彼はショットガンを構えた。
ズダンッ
まず、一発撃った。この弾は散弾であるため小さな弾が広範囲に広がるのだ。しかし、それでは威力は弱い。
散弾はペンドラーのプニプニした体に当たったが傷一つつかなかった。オリバーは何度もポンプアクションさせてそれに撃ち込んだ。全く効いてはいなかった。
「Shit!(クソッ!)」
ついにショットガンは空になってしまった。
「もう、諦めたの?早いわね。」
オリバーは腰を抜かして、ジリジリと近づいてくるペンドラーをただ呆然と見ているだけしか出来なかった。
「さあ、どうやって駆除してあげようかしら。」
ペンドラーの頬には何かが掠ったような痕があった。それはオリバーにもわかっていた。銃弾が掠ったのだ。
「お前はあのときのフシデだったのか?」
「その通り。」
彼女の表情は何かを考えているようだった。
「うーん、葉っぱも美味しかったけど人間は美味しいのかしら?」
「そんな…嘘だろ…」
不気味に笑うペンドラーがより一層怖く感じた。
オリバーは逃げようとしたがあっさり彼女に捕まってしまった。
「まずは味見ね。」
ベロリ
ベタベタ、ヌルヌルの唾液がオリバーの顔を濡らしていく。
「く…苦しい。…助けてくれ…」
すると、ペンドラーは舐めるのをやめた。
「これで、駆除される側の気持ちが分かった?」
「よく分かったよ。だから、喰わないでくれ…」
「それは無理。だってすごくお腹減ってるしそれに…あなたを生かす気は無いから。」
「そんな…」
全てを諦めた顔をしているオリバーを頬張るとゴクンと音を立てて呑み込んだ。
彼女のお腹の膨らみはだんだんと小さくなっていった。

夜遅く
「オリバー?何処だ?」
父親は息子を探した。
もうこの世にいるはずがないのに……
ペンドラーは草むらに隠れて舌舐めずりをした。
ガサッ
「オリバーか?」
「ふふふ…あなたの息子はとっくに“駆除”したわ…」
「誰だ⁉」
「私はペンドラー…あなたが息子に木の番をさせたのよね?」
「そうだ…それがどうかしたか?」
「私の仲間達を虐殺させたんでしょう……」
「お前はフシデの…」
「最終進化形よ……」
男はホルスターのリボルバーを抜いた。
「殺してやる、この虫けらめ!」
ボトッ
「⁉⁈…」
チクッ
「くっ……くそっ……」
唯一のフシデが枝から落ちてきて男の首筋に咬みついた。
たちまち、身体に猛毒が送り込まれ口から泡を吹き血を流しながら…言葉にならない声をあげていた。
拳銃を握れないほど麻痺してしまっていた。
ペロリ
「美味しい…」
ペンドラーは男の顔を舐め、吐血した血を舐め取った。
そして大口を開けると男を音を立てて呑み込んだ。
「ちょっと食べ過ぎたかしら…」
月光は大きく膨らんだお腹を撫でるペンドラーを照らしていた。



:: 作者メッセージ
旧作の改訂版です。
18/01/30 08:53 Haru & José(Pepe) & Javier

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35b
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