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第二話

「どういうこと………?」

そう言って、体操座りの様な姿勢の私より三倍くらい高い位置にある狼の顔を見上げた。

夜空のような黒勝りの紺色の体に金色の目は、見ていると少しずつだけど安心させてくれた。

すると、狼はあたしのジッと見つめた。

「…お前、知らないのか? この儀式の禁則事項」

そんなこと、菜々は一言も言ってなかったな…。
今日の会話を思い出しながら首をかしげる。

すると、狼は呆れたように大きく息を吐いた。

「あのな、この儀式は一人でやったり、途中で辞めたりしたら普通なら絶対有り得ない事が起こるんだよ」
「な…何が起こるの…」
「…基本、霊や妖怪は人間に干渉出来ない。が、この儀式でそれをするとその常識は覆る。…つまり、呪いだな」
「うそ…そんな……」

あたし、どうすればいいんだろう…。

もう何も分からなくなって、目から涙が溢れた。

「そこで、提案がある」

狼はそう言うと、あたしの涙を舐めとって、ニヤリと笑った。

「俺が、お前の友達になってやるよ」
「……何でよ」

正直、意味が分からなかった。
喋っている時点できっと妖怪なのだろう。
だったら、同じ妖怪とつるめばいいのに。

そんなあたしの思いを見透かしたように、狼は喋り出す。

「俺は力が強すぎてな。どいつもこいつも俺を怖がって会話すら成り立たねえんだ。だから毎日退屈でな…」
「………」
「で、今日妖怪達が集まって騒いでたんだ。久しぶりに獲物が現れた。ってな」
「…え、獲物…?」
「ああ。お前は霊にも妖怪にも対抗手段は無いだろ?だから、襲えば絶対に勝てる」

その言葉に背筋がゾッとする。
もし、出てきたのがこの狼じゃ無かったら…。

「だから、俺がお前を守れば退屈から抜け出せる。お前は夢が叶うし生きる事が出来る。悪い条件じゃ無いと思うが?」

確かにまだ死にたくないし、この狼はそんなに怖くなさそうだし…。

少し迷ったけど、答えはすぐに決められた。

「…よろしく。狼さん」

そう言うと、狼は嬉しそうに笑った。

「そうか。俺は黒牙。お前は?」
「あたしは茜。ねえ、クロって呼んでいい?」

冗談で言ったつもりだったけど、黒牙は面食らってしまったようで、少しソワソワした後に頷いた。

…ちょっと可愛いかも。

そう思って少し笑ってしまった。
すると、クロは何かを言い忘れていたようで、突然口を開いた。

「俺の飯なんだが…」
「あ、そう言えばクロって何食べるの?」
「人間の生気だから…食うと言うより吸収だな」

生気って…つまり…。

「一週間に一回、俺に喰われてくれ。茜」

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なかなか更新出来ません…orz
でも、非公開機能のお陰で、書いた文章が消失する心配が無いから安心ですねw

13/04/25 23:16 ラムネ

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