連載小説
[TOP] [目次]
初めての救出
とはいえ、リウスも雪山の洞穴から出たのは初めての事であった。なぜなら、龍を狩る人間が現れるようになった為、外に出ることを禁じられたからである。
洞穴は外から見えないように大きな岩で隠れており、中は比較的外とは違って暖かい。スペースは龍が20体は入れるほど広く、そこに幼い龍達は身を寄せあって生活する。リウスも、その一匹だった。

「リウス、もう行っちゃうの?」
妹のリュウカが心配そうに私を見る。
「大丈夫だよ。話し合いして諦めてもらえたら、闘いなんて起きないよ」
「でも…」
心配性のリュウカは、私と同じ青い瞳から涙を滲ませている。無理もないなぁと私は思う。だって、同じような事を言って出ていった仲間達も、まだ帰ってきていない。洞穴の中は、私とュウカ以外には8体ほどしかいない。みんなも、次は自分が出るのではないかと怯えた様子。
「ちゃんと時々帰ってくるから。仲間に会ったら、時々は顔出しするように頼んでおくよ。
それじゃあ---また後でね」
後でと言ったのは他でもない。それがリュウカを元気付ける、ただ1つの方法だと思ったから。
まだ心配そうにしているリュウカを思いながらも、私は外を塞ぐ岩を少しどかした。
「眩しいっ!」
初めて浴びた太陽の光に、暗さに慣れていた目が眩む。
仲間が開けた時に眩しいって言っていたけれど、こういう事だったんだと実感した。
明るさに慣れてくると、ようやく足を一歩踏み出す。
ずぼっと足が雪にめり込んだ感触と静かな音。
その何もかもが新鮮で、使命の事も忘れて、雪で遊びたい誘惑にかられた。だけどその誘惑は、ふと視界に入った者で振り払われた。

誰かが、雪に埋まるように倒れている。

それが何を意味するのかを私は知らなかったけれど、何か大変な事だというのは悟れた。
「(とにかく、なんとかしなきゃ!)」
私は念の為に体を2mくらいまで大きくして、その者に近付いた。それは兎の獣人のようだった。髪は桃色で、頭から兎のような耳が生えている。瞳は閉じていて色は分からない。よく見れば着ているのは羽毛のようにふわふわなワンピース---だと思う。肌は雪のせいか白く、生きているのかどうかも怪しい。試しに手を当ててみると、かなり冷えている。だけど、体温が低めの氷龍でも暖かさをまだ感じられる。顔を相手の口許に近付けてみると、微かに息がかかった。
「(生きてる!でもどうしよう…洞穴に連れていくわけにはいかないし…)」
とりあえずこれ以上体を冷やさないようにその者の体を抱き抱えて、体温が直に伝わる腹部に当てる。そこで…1つの方法が浮かんだ。
14/06/25 14:36更新 / 璃蘭
戻る 次へ

TOP | 感想 | RSS

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35b