読切小説
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少年と大蛇
「…見つけたぞ!」
「お前のような子供がこんなところになんのようだ」

とある廃墟の一角、一人の少年と一人の魔族が対峙していた

「村のみんなの…仇っ……!」
「…ふむ、悪くない太刀筋だ…だが…」

少年は魔族に向かって剣を振りかぶると
魔族はそれを易々と避ける

「貴様の相手は俺じゃなくこいつだ」

魔族が手を掲げると
廃墟の奥からゆっくりと巨大な蛇が現れる
蛇が鎌首を持ち上げ少年を睨むと
魔族は蛇の後ろにあった廃墟の柱を背に寄りかかり、こう続けた

「少年、貴様にチャンスをやろう
この大蛇を倒せばこの手で葬ってやるとな」
「…こんな蛇なんてボクの敵じゃない!
こいつを倒してお前も倒してやる!!」
「ふっ…威勢がいいな、やれ」

少年は蛇の動きに注意しつつ
魔族に向かって吠えると
魔族は鼻で笑い、蛇に攻撃の許可を出す

「シャァァァァッ!」
「このっ、……なっ!」

蛇はゆっくりと少年を見て
獲物をどう捕まえるかの算段を立て、巨体に見合わないスピードで少年へと襲いかかる
少年は凄まじい反応速度で蛇の突進攻撃を避け、カウンターで蛇を斬りつけるが
頑丈な鱗の前には粗悪品の剣では傷一つつけられない

「シャァッ!」
「…っ!……うぐっ……!」

少年は傷一つつけられなかったことに一瞬戸惑い
蛇はその一瞬の隙を突き、少年を尻尾で壁に叩きつける

「……興醒めだな…」

魔族はそう呟くと魔法によるものなのか、その姿を消してゆく

「っ……!このっ…!」

少年が壁際に倒れている間も、蛇は油断無く獲物を見つめる
少年は鱗の間を剣で刺せばダメージを与えられるのではないかと
蛇に突進攻撃を仕掛ける……が

「…くっ……!ぐあぁっ……!!」

蛇は先ほどと同じく尻尾でなぎ払うと
今度は自らの体を倒れている少年に巻きつけ、締め上げる

少年は二度目の攻撃の際剣を落としてしまったらしく
身動きが取れないまま
じわじわとその体力を奪われてゆく

「シャァ…」

通常蛇は獲物を締め上げると同時に
獲物の鼓動を聞き、弱ってから呑み込む
…だが、この蛇は余程腹が減っていたのか
それとも少年はもうなにも出来ないとわかったのか
どちらにせよ少年にとっては最も恐ろしい
“生きたまま丸呑み”にされることになる

「ひっ……」

蛇は頭から呑み込まず、足の方からじわじわと
少年の体を呑み込んでゆく
少年は巻き付きからなんとか脱するべくもがくが
力の差の前になにも出来ないと知り
少年は無抵抗で蛇の中へと消えてゆく

少年が最後にみた景色は
廃墟の崩れた天井だった
18/02/19 16:29更新 / カミュ(旧ケン)
■作者メッセージ
短いですが久しぶりに小説を投稿します
よければご覧下さい

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