連載小説
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エマージェンシー
(注)捕食ではない、流血・グロテスクな表現があります。


 …雪原上空を飛ぶヘリの中でうたた寝していた私。…ヘリに飛び込む切迫した無線。…けたたましく鳴り響く警報。…必死に抗い続ける私たち。…努力もむなしく、ヘリは墜落し始める。…「メーデー!メーデー…!」

・・・・・・

 「…うぅ。」気がつくと私は、残骸の中に埋もれていた。「ロボ…大丈夫?」私はまず相棒の名を呼ぶ。相棒というのは神機の事で、私は神機に『ロボ』という愛称をつけていた。すぐに、その白い神機が手元にあることがわかり、無事である姿に安堵した。ところが、「…〜ッ!」起き上がろうと体に力を入れた途端、全身を激痛が襲った。特に右の腹がひどい。「ううっ…ぐ…。」とにかく脱出しようと、自分に覆い被さっている残骸を押し退けていく。身体を少し動かすだけでもズキズキと痛みが走る。そして、思わず目を覆いたくなるような自分の状態が分かった。「ひっ!…いやだ…冗談じゃないよ…。」背中から腹に向かって、機体の一部と思われる物体が貫通していたのだ。「うう…。あぐぅっ!…くっ、はぁ、はぁ、…うぐぅぅぅあっ!」私は身を起こそうと歯を食い縛るが、あまりの痛みに視界は赤黒く染まり、今にも気絶してしまいかねない。「ゔゔっ!ゔああゔっ!…くぅっ!…ギャアアアアアアアッ!!」

…グチャッ…。

貫通した物体から体を引き抜く時、虫酸の走る気色の悪い音がした。初めて神機を握る、適合試験の苦痛を思い出したが、その時とは真逆の最悪な気分だった。
16/12/09 00:25更新 / ズィーベン
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