読切小説
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赤いずきんのお話
ここはミスト村から離れた所にある山でウルフフォレスト。野生の狼は、だいたいこの山から来ていることからその名前が付いた
その山にある小さな小屋。物語はここから始まる・・・


「なあにー?お母さん」
「赤ずきんに頼みたいことがあるのよ」
母に呼ばれて台所に元気よく走ってくる赤ずきんと言う女の子。
「おばあちゃんがね、最近調子が悪いみたいでねぇ・・・。お薬とパンを持っていってくれる?」
お母さんが薬とパンの入ったバスケットを持ってくると赤ずきんはパジャマから赤ずきんセットに着替えに行った。


「うん!完璧よっ♪それじゃあ行ってら・・・あ」
「どうしたのお母さん?」
バスケットを渡そうとしたお母さんが手を止めた
「最近オオカミが増え出したから気をつけるんだよ?油断してたらパクッと食べられちゃうんだからー!」
「大丈夫〜!行ってきまーす!」
心配しながら手を振っている母を背に赤ずきんはスキップで森の中に消えた



「〜♪〜〜♪」
スキップをして鼻歌を歌いながら私は森を歩いてく。お母さんがオオカミがいるから危ないって家から出してくれないから今日はその分いーっぱい楽しも・・・
「・・・?な、なに?」
なんだろう?横にある茂みが揺れた気がする。
「気のせい・・・じゃなかったー!」
バッ!と素早く茂みから出たのはオオカミ。お母さんが気をつけてと言っていたあのオオカミ。
「あ…あぅ…え…の…」
私は言葉が出ないまま後ろに少しずつ下がっていく。そしてオオカミが他の方向を向いたときに私は震える足で走った。




あーあ、めんどくせー
飯とか狩るのも面倒。
なんかさっきから他のオオカミが騒がしいけど・・・なんだ?
俺はこの森に住んでいる普通のオオカミだ。ただ一つだけ違うところがあってな・・・!!
「人の言葉が話せるんだぜ♪」
原因は分からない。人間の言葉が理解できる。
・・・!!
俺の目の前の木に赤い服を着た少女がうずくまって泣いている。他の奴等が騒いでいた理由はコイツか。ニヒヒ・・・
「お嬢ちゃん。どうして泣いてるんだい?」
音を立てずにその少女の前に立ち、声をかけるとビクッ!となりさらに俺の顔を見てもう一度ビクッとなった
「ひっ…オ…カミ…やだ…っ」
泣きすぎて目が赤くなっていて声も震えている。
「大丈夫か?何をしてるんだ?」
そう聞くと少し驚いたような顔をしたがすぐに
「おばあ…ちゃんの家にパンと薬を持ってくの・・・その途中に4匹もオオカミにあって・・・あなたは私の言葉が理解できるの?」
ビクビクとしながら聞いてくるその子は小さく、8歳ぐらいの旨そうな女の子。涎が出そうだ。
「何故かわからんが理解できる。おばあさんの家までついていってやるよ。」
「ほ、本当?ありがとう!」
少し笑顔になり。お辞儀をしてくる。
作戦成功だ♪ついていくと言って油断させて着いた後お婆さんを食べて、デザートにこいつを・・・!
「どうしたの?オオカミさん?」
「な、なんでもない!それよりお前の名前は?」

「赤ずきんだよっ♪よろしくね!オオカミさん。」

話ながら森を歩いていく。その間に赤ずきんを見る。トコトコと一生懸命歩く小さな足。バスケットを持った小さな手。それに、赤いずきんで少し隠れた幼くも無邪気感の溢れる可愛い顔。この柔らかい肉を食ったときの味を想像していると・・・
「着いたよー!オオカミさんありがとー♪さあ、入ろうよっ!」
っと着いたか
コンコン・・・
「おばーちゃーん!遊びにきたよー!」
ガチャッと音がして、中からお婆ちゃんが出てくる。
「おやおや、いらっしゃい。さあさ、上がっとくれ。」
お婆ちゃんは俺にもコイコイと手招きをしてくれた。




「オオカミ、もありがとうねぇ、何かあげなきゃいけないかしら」
「欲しいものはだな・・・」
そう言って俺は横でジャンプしていた赤ずきんを手で押し倒して動けなくした。
「オオカミ・・・さん?」
「お前と赤ずきんだけで十分だ・・・♪」
「!おやめなさい!オオカミ!」
俺がどれだけ待ったのか知らないだろ。あの良い肉を横にずーっと我慢してたの知らないだろーが。
「まずはお婆さん。アンタからだ。」
俺はお婆さんの喉元に食らい付こうとしたその瞬間・・・!
「ま…まって!」
牙がお婆さんの喉元に当たる寸前に赤ずきんが止めた。
「ほ、本当にそれが目的だったの?オオカミさん・・・」
「ああ、美味しそうだからな。」
舌なめずりをしてみせる。
「私…美味しそう?食べる…の?」
「ああ、待ちきれないほどだ」
「じ…じゃあっ!お婆ちゃんには…何もしないでっ!私は…どうなっても…どんなことを…されても…いい…よ。だからお婆ちゃんは助けて!」
震え声で俺にそう言った。
「そうか。それじゃあ赤ずきん。お前を頂いていこうか。」
俺は赤ずきんのお腹に痛くない程度に牙を立ててお婆さんの小屋から出ていく。




私・・・とんでもないこと言っちゃった。どうなってもいいって・・・
「牙で千切るのは勿体ないなー。」
ニヤァッと笑った時に覗く真っ白で鋭い牙。
「まあ、食いながら考えればいいか。」
ベッチョォ・・・!
「きゃあぁっ!」
首をグルッと肉厚の舌に舐められ頬も舐められる。
「やっぱり旨い♪・・・あ?くすぐったかったか?声も可愛いじゃねぇか♪」
首と頬が舐められてベトベトになった。口にも少し入ってネバネバする。
「うぅっ・・・やだぁ。やめてよぉ!」
「自分はどうなってもいいんじゃないのか?」
そう言いながら舐める範囲を広くしていく。
ネチュッ・・・ベロォーッ!ベチャベチャ・・・
肩、胸、腕、お腹、膝・・・どんどん広くなっていき、最後には靴下の中にまで入ってきた。
「そうだ!これはどうだろう?」
指先から肩までが口の中にスポッと入る。そして・・・
チューッ!チュプッ、チュプッチュプッ・・・
「うひゅっ!はふぅ!?吸い込まれる!」
くすぐったい感覚。口の中の水分が全て無くなりザラザラの舌が当たる。吸い込むのをやめると口に水分が戻ってきて私の指から肩に容赦なく塗られる。ニュッ、チュッチュウ。ジュルルッ!
「きゃぅぅ・・・やめてぇ」
チュポッとオオカミさんが私の手から口を放す。
「片方残ってるが・・・まあいい。俺のお腹でトロトロになる準備はできたか?」
「・・・はいっ!?ま、まだです!」
さっきの吸い付き攻撃でボーッとしていた私は素早く反応できなかった。正直言うと少しだけ気持ち良かった。
「そうか。それじゃあ、まず俺の口へ招待してやろう・・・♪」
力が無くなり動けない私にそっと舌が巻き付く。
「やっ…やだぁ!助けて!放して!」
そしてオオカミさんはわざと私に奥が見えるように大きく口を開き、恐怖を見せるようにとてもゆっくりと舌を口の中に戻していく。抵抗して舌を叩いてもフニュフニュと攻撃を受け止めてしまう。バクッと勢い良く口を閉じて出さないという意思を示した。
ここがオオカミさんの口の中・・・綺麗なピンク。私食べられちゃったんだな・・・
そう思うと、たくさん涙が出てきて止まらなくなりオオカミさんの舌の上に落ちる。
熱い息が私を撫でる。
急に舌が動き、私を牙の上に落とした。千切られる!
クチャックチャッ・・・ニチャァ
「あみゃぅ・・・♪オオカミさん・・・♪」
「どうしたんだ♪そんな声上げちまって・・・♪噛まれるのが気持ちいいのか?」
痛いのを覚悟していたのに、甘い刺激を与える噛み方をしている。
「こんな上質な肉、噛み千切るのは勿体ないからな♪丸呑みという事だ。」
生きたままオオカミさんの胃袋に行くの!?胃袋に溜まる胃液は食べ物を溶かす為にあるから・・・
「私、オオカミさんの胃袋でドロドロに溶けちゃうんだ・・・」
「そーゆーことだな。それじゃあな。旨かったよ」
ニュプッ、ニュップ・・・ニュブヌブヌブ・・・
どんどんと柔らかく温かい喉肉に包まれて奥に押し込まれる。そして・・・
ゴックン!
と私は、オオカミさんの体内に落ちていった・・・



長い食道を抜けるとそこは・・・
「あぁっ!熱いっ!」
胃液のある胃袋。
私の体がその中に落ちてしまう
シュウッ、ニュニュル
「熱いっ!あっ♪で、でもなんかヌルヌルが気持ちよくなってきた・・・」
ヒリヒリしていたところがどんどんとヌルヌルになっていって最後には温かく気持ちよくなってくる。
ムチュッ、ミチュッと胃壁が私に胃液を塗って揉んでいく。気持ちいいな。私、オオカミさんを信じていたのに最後に裏切られたのは悲しかったな。目前が消えていく。鼓動がオオカミさんと一緒になっていく・・・




「旨かったなぁ♪」
あんな極上の肉は食ったの始めてだった。
・・・さっきまで反応があったのに今は無い。今吐きだせば間に合う。また赤ずきんが食える。
ウッ・・・ヌゥ・・・ドシャッ
苦しいがなんとか赤ずきんを吐き出した。息はあるし体は服が大分溶けてしまった程度である。
「これ・・・俺じゃあどうしようもないな」
放っておいたら死ぬかもしれない
「仕方がない・・・」
俺は赤ずきんに傷がつかないようにそっとくわえた。




チュンチュン・・・
いつもの朝。私がベッドから起きようとすると母が来た。
「大丈夫なのっ!?良かったー・・・」
えっと・・・たしか・・・
起きた出来事を思い出してみる。
「あれ、なんで私ここにいるんだろう」
「昨日家に居たら扉をバリバリ引っ掻く音がしていってみたら赤ずきんが倒れてたのよ!」
もしかして・・・それは・・・
「ちょ、ちょっとでかけてくる!」
「え!?無茶よ!昨日倒れてたのよ!?」
お礼を言わなきゃ!オオカミさんに!



どこだろう・・・オオカミさん・・・
森中を走り回っているのに他のオオカミさえ一匹もいない
いないのかな・・・そう落ち込んで下を向いて歩いていると・・・
モフッ
「・・・!オオカミさ・・・」
オオカミだった。大きくて気性の荒そうな・・・
違うオオカミ・・・



昨日、赤ずきん帰しちまったけど・・・もう一歩も外に出ないってのもありえるかもなぁ・・・
まぁ、今は他の山に行っていたボスも帰って来てるし出ないほうが・・・
「きゃぁぁぁ!!」
・・・

やっぱり・・・
ボスに食われかけてる。どうすればいいんだ・・・
「すみませんボス。それ俺の・・・」
ギロッ!
うっ・・・
引き下がるしかないよな・・・
そう思って引き下がろうとした時、ボスの口を見て俺は引き下がる気を無くした。
ボスは丸呑みなどを嫌う奴だ。
ボスの口からは血が垂れていた。そして赤ずきんが
「助…けて…オ……ミ…さん…」
と言った。聞こえたぞ赤ずきん。
気づけば俺はボスの首に噛みついていた。
赤ずきんに夢中だったボスは俺に気がついてなかったらしく上手く弱点を狙えた。
「ガウッ!?ガルアルッ!」
驚いたボスは赤ずきんを落とした。それを俺がギルギリキャッチできた。ボスが痛さでのたうちまわっている間に赤ずきんに話しかける。
「赤ずきん!赤ずきん!おい!」
何度も呼び掛けるとこちらを向いて嬉しそうにした。
「来て…くれ…た…の?あり…が…と…う」
だが、赤ずきんは片目が見えていない
「目が・・・!・・・そこら辺に隠れてろ。決着をつける」




私はその闘いの一部始終を見ていた。野生に生きる力を見た。そしてそれはすぐに決着がついた。
「ふらふらだぞ・・・でも、やったぜ・・・」
勝ったの!オオカミさんが!
「・・・昨日はありがとう。」
「ち、違うぞ!?助けたんじゃねーぞっ!溶かさなければまた赤ずきんが食えるだろ?・・・それにもっと大きくなってからの方が食い応えあるだろ?その時溶かす!」
「ふふふっ♪そうだね♪で、もっと大きくって何歳くらい?」
「20ぐらいか?」
「その歳になるまで私の家に住んでよ!家族には迷惑かからないから!」
「その歳になるまでの間にも赤ずきん食うぞ?」
「良いよ♪信じてるから」
そして、その歳が来ても彼が彼女を溶かす事は無かった


おしまい
14/06/29 03:10更新 / イル

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