読切小説
[TOP]
ミュウと僕

僕は、ある出来事がきっかけで、ミュウに出会った。


はじめはいろいろ戸惑ったりしたが、今では僕の第二のパートナーだ。


時たま僕を困らせることもあるが、その様子を見ていると心がなごむ。


頭をなでてあげたりすると喜んでくれるので、嬉しい気分になる。


今ではたまに会いに行く程度だが、元気な姿を見せてくれる。


ある日、僕はミュウに会いに行くことにした。


ちょっと久しぶりな気がするが、元気だろうか。


道中もそればっかりが気になっていた。


そして、僕が姿を見せると、


「あっ、フォッコ!」


僕の姿を見るなり、飛びついてくる。


(わわっ…)


僕はバランスを崩してしまい、その場に倒れこむ。


「また会いに来てくれたの〜?嬉しいなぁ」


ミュウは無邪気な笑顔ではしゃいでいる。


(あ、今日はプレゼントを持ってきていたんだった)


僕はミュウにそのプレゼントを差し出す。


「なになに〜?プレゼント?」


ミュウは箱を開けると、中身を取り出す。


「わぁ、クッキー!」


目をキラキラと輝かせる。


僕はミュウのそういう姿が好きだ。


「ねぇ、すぐに食べてもいい?」


うん、と頷くとミュウは早速


「いただきま〜す!」


一口でクッキーを口に入れ、むしゃむしゃと食べる。


「うん、美味しい!」


他にもクッキーはあったので、二匹で分けあって食べることにした。


(こんな時間が過ごせるなんて、幸せだなぁ)


昔のことを思い出すと、苦難ばっかりだったように思う。


しかし、今は平和な時間が流れている。


「ねぇねぇ、まだ足りないんだけどぉ…」


(あれ、もう少し食べたいのかな)


物足りなさそうな顔をしているミュウを見ると、もう少し多いほうが良かったか、と思う。


「う〜足りないよぉ… そうだ、君を食べてもいい?」


ミュウは突然そんなことを言い出す。


僕は食べられるのには慣れているから、まぁいいか。


「心配しなくても,丸呑みで食べてあげるよぉ」


断ってもどうせ食べられるのは見に見えているので、おとなしく座り込む。


「ふふっ、食べてもいいんだね!」


ミュウは早速大口を開ける。


ミュウの小さな口だと僕の体を呑み込むのは大変だと思うが、大丈夫なんだろうか。


そんな心配を他所に、僕の頭は咥え込まれる。


温かいミュウの息を感じる。


「んむ、んん…」


ミュウは口を無理に広げているのか、少し大変そうだ。


しかし、僕の体はどんどん口内へと押し込まれる。


僕の視界は、ピンク色のミュウの口内で支配される。


喉の奥がよく見えないが、とても狭いことだけはわかる。


ずるり、とまた僕の体は引きずり込まれる。


すると、喉の入り口が近づいてくる。


それを何度か繰り返すと、ようやく喉の入り口に僕の頭が接触し、そのまま押し広げながら奥に進入していく。


体の方も続けて喉に収まる。


外から見れば、きっとミュウの喉は異常なほど膨らんでいることだろう。


そして、その喉の中を、僕は通っているのだ。


ぎゅうう…。


狭苦しい空間の中、喉肉に締め付けられながら降りていく。


少し苦しいが、我慢することにした。


そして、いよいよの入り口である、噴門に到着する。


噴門は自動的にぐばっと開き、僕は狭い胃袋の中に押し込められる。


すると同時に、ミュウのお腹もぷっくりと膨れ上がる。


それを確認したミュウは、嬉しそうにお腹をなで、それから


「やったぁ!初めて丸呑みできたよ〜!」


嬉しそうに飛び上がったり、はねたりするものだから、少しくらくらする。


「ふふふ〜!ついにフォッコを丸呑みにしたのだ〜!」


すごく嬉しそうなミュウ。


僕は身じろぎをしながら、胃の中を観察する。


…うん、綺麗な胃袋だと思う。


きっと食べているものもちゃんとしているんだな。


少し、安心する。


「けふっ、それにしても…これからどうしようかな…」


ミュウはお腹を撫でながら、これからのことを考えているようだ。


「消化しちゃったら駄目だし…う〜ん、とりあえず調査団のみんなに見せてみよう」



………



「み、ミュウ…お前…」


「あわわ…」


「これは、なんというか…すごいな」


調査団のみんなを集めて、膨れ上がったお腹を見せる。


「ミュウ…少しやり過ぎだと思いますよ」


団長のデンリュウも、苦笑いをしている。


「えへへっ、みんなもやってみようよ♪丸呑み♪」


調査団のメンバー全員が、団長を含めて絶句した。


そんな空気の中、ミュウだけが一人はしゃいでいる。


僕は胃袋の中にいたからわからないけれど、あとでデンリュウに聞いてみると、そういう状況だったらしい。


(あはは…なんというかなぁ…)


僕は、ただ苦笑いをするしかなかった。


16/08/19 18:12更新 / 猫缶
■作者メッセージ
今回は、ミュウによるvoreです。

この小説は、pixivにも投稿しています。

TOP | 感想 | RSS

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35b