連載小説
[TOP] [目次]
悪夢は正夢
瞼を開けるとそこは自分の部屋で、俺はベッドに横になっていた。
「良かった。起きたんだね。」
隣には心配そうに俺の顔を覗き込むアイツの姿があった。
「道端で倒れてたからびっくりしたよ。」

スマホで時間を確認しようとした時、溜まっていたメールを開いて背筋が凍った。そこには、カイリューに呑み込まれる俺の姿が写った写真が送られ『ネットに晒されたくなければ僕の友達を返せ。』と書かれていた。そして何があったのかぼんやりと思い出した。
「お前…俺を…」
「ああ…そうだよ。」
次の瞬間、俺たちは廃校舎にいた。
「僕らはテレポートしたんだよ。」
すぐに血生臭い匂いが鼻をつき、頭に鉄パイプが刺さり腹を引き裂かれたカイリューの死体や悪党共の死体が転がっていた。
「僕ら…もうお尋ね者だね。」
手の傷を見てアイツの言っていることが分かった。カイリューの腹から引きずり出された時、目の前に落ちていた連中のマカロフ拳銃を取って、アイツを後ろから撃とうとしていたクズ野郎の頭を撃ち抜き、手を擦りむいた。
「お陰で助かったよ。」

廃校舎の俺たちのいた教室には至るところに死体や骨が転がり、明らかにこの間の連中より多いことが見て取れた。
「コイツら……全部お前が…?」
「ほうだよ(そうだよ)。」
奴の方を見ると、死体の腕にかぶりつき肉を咀嚼していた。
ごくっと呑み込み、口の周りの血を拭うと深呼吸した。
「で、でも、殺してるのは悪党だ。」
「これはいくら何でも行き過ぎだ!わかるだろ!」
「君には…君にはわからないよ……ゾロアークになった時からこうだった。この大学に来る前、僕は南米でカルテルやギャングを襲ってた。やめられないんだ。人の血の匂い、人肉の味じゃなきゃ満足出来ないんだ。他の食べ物は吐いてしまう。君もタバコがやめられないだろ?それと同じだよ。」
俺は何も言い返せなかった。

気づけば、自分の部屋にいた。
「よく休んで。」
そう言ってアイツは去って行った。

目を閉じると、暗闇で生きた人間の首筋を次々に食いちぎるアイツの黄色い目と血に塗れた顔がフラッシュバックした。
21/03/17 05:33更新 / Haru & José(Pepe) & Javier
戻る 次へ

TOP | 感想 | RSS

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35b