連載小説
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日常
授業のない昼下がり、俺は大学のベンチに腰掛けてタバコを吸っていた。ただずっと口から出るタバコの煙を眺めていた時、チャイムが鳴りアイツが出てきた。
「また吸ってる。いい加減やめろよ。」
「お前が遅ぇからだよ。」
「だって、僕は授業があるから。単位捨ててる君と違ってね。」
飲み終わったコーヒーの空き缶に吸い殻を入れ、ゴミ箱に捨てた。
「経済学は苦手なんだよ。」
「じゃあ、何で取ったんだい?」
「ピー逃げ出来ると思ったから。」
「ピー逃げ?」
「学生証をカードリーダーに翳すだけで出席したことになる技だ。まあ、真面目なお前はしないだろうが。」

俺たちは無駄話をしながら歩き出した。
「あ〜…腹減った。昼どこで食う?」
「もう昼じゃないけどね。」
「誰のせいだよ。」
「ごめん。待っていてくれたのは感謝するよ。」
「で、どこにすんだ?」
「駅の近くのカレー屋はどう?」
「いいな。」

昼飯を何にするか決めタバコの箱を開けもう一本吸おうとした時、アイツの毛むくじゃらの手がそれを妨げた。
「1日一箱までにしなよ。」
「うるせぇな。ポケモンのくせに。」
「友達を心配して何が悪いんだ?」
俺には奴に返す言葉が無かった。
「吸うんだったらベンチじゃなく喫煙所にすればいいのに。」

そうこうしているうちにカレー屋に着いた。
「いらっしゃい。何名様?」
「2名で。」

席に着いてメニューを見ていると、奴は激辛カレーを眺めていた。
「何にします?」
「俺、カツカレー中辛で。」
「はいよ。そっちのゾロアークのお兄さんは?」
「激辛大盛りカレーをお願いします。」
店員と俺は驚いていた。
注文した奴のカレーが来ると写真のものよりずっと悍ましく見えた。
「いただきます。」
奴は美味そうにその激辛カレーを口に運んでいった。
俺も自分のカレーを食べながら見ていた。
「食べてみる?」
「絶対辛いだろ。」
一口食べた瞬間、汗が吹き出し舌が何かに刺されるような痛みが走った。
「辛っ、痛っ!」
「美味しいよ。」
「お前の舌はバカか?」
「確かに辛いけど、コクがあってすごく美味しいよ。」
そして、水も飲まずに完食した。
「ご馳走様でした。」
財布を出そうとすると、奴がそれを止めた。
「いつも多く払ってくれてるから、今日は僕が出すよ。」
そう言って微笑んだ。
21/03/14 03:42更新 / Haru & José(Pepe) & Javier
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