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カーレース

ホテルの地下駐車場にあったのは2台の日本車だった。
「カルメン、どっちにする?」
「私はGT-Rにするわ。」
「じゃ、俺はシヴィックで…」


「それで、どうやって奴を誘い出す?」
「カーレースだ。奴は絶対のるはずだ。」


その日の夜、ユウキはカルメンのスマホで電話をかけた。
「よう、娘かと思ったか?」
「へへへ、お前たちか俺の部下を散々な目に遭わせたのは。」
「実に無力だ。」
「要件は何だ?」
「カーレースだ。俺とお前で。お前が勝ったらこの子を好きなようにして構わない。でも、俺が勝ったら…お前の車を全部もらう。」
「良いだろう。」
「いつがいい?」
「明日の夜だ。」


当日の夜、カルメンはユウキの姿になった。
「全然見分けがつかないわ。」
フローゼルは驚いていた。
「さあ、行くか。」

待ち合わせ場所に着くと、そこにはそのマフィアがいた。
「日本車か…いいな。」
「お前も好きか?」
「ああ、もちろんだ。俺のはミツビシのランサー・エボリューションだ。俺に戦いを挑んだ日本人はお前が初めてだ。名前は何だ?」
「ユウキ・サイトウだ。お前は?」
「俺の名前かを知らないのか?」
「知らないね。」
「へへ、俺はエル・ディアブロだ。」
「悪魔ってことか?」
「いかにも。あの娘はどこだ?」
「あの車の中だ。」
エル・ディアブロは中を確認しなかった。2人はそれぞれの車に乗り込むと、封鎖された道路にスタンバイした。


ディアブロの部下が拳銃を上に向けて撃つと、2台は走り出した。
くねくねとした道を追い越し追い越されながら、2台は進んでいった。ディアブロは素早いギアチェンジで、GT-Rとの差を広げていく。凄まじい2台のエンジン音がバリオに響いていた。


何人かのディアブロの部下はシヴィックのウインドーをノックした。
「何?」
ティアはウインドーをほんの少しだけ開けて答えた。
「中を確認させろ。」
「今、ロック解除するから。」
ガチャっという音がして部下たちはドアを開けた。
「ハーイ、ダーリン!」
フローゼルと本物のユウキはサイレンサー付きの銃で部下たちを射殺した。すぐに他の部下も異変を感じて銃を構えたが、離れた場所からコウタとケイレブが狙撃した。1人がティアに銃を突き付けたが、コウタの撃った弾が銃を持っている腕を吹き飛ばす方が早かった。その場で辛うじて息をしていたのは、腕を失った男だけだった。
「女に銃を向けるのは、反則よね?もっと怖い物見せてあげる。」
ティアは人間からラティアスの姿になった。
「怖いでしょう?」
その男の胸ぐらを掴み、顔のあたりまで持ち上げるとベロリと舐め上げた。
「ひっ……や、やめろぉ‼」
ガブリッ ゴクン
「ふふふ、美味しかった。」
ユウキたちは殺した部下を一箇所に集めると、部下の車の燃料油キャップを開け燃料をたっぷりと死体の上にかけた。



急カーブでGT-Rはエボリューションを抜いたが、最後の直線コースでエボリューションがGT-Rより数センチ先に出ていて、そのままゴールしてしまった。
「負けたよ。最後に聞きたいことがある。」
「何だ?」
「どうしてあの子にあんなメールを送った?」
「ははっ!見せしめの為だよ。俺たちに逆らった者はこうなるってなぁ!たっぷりいたぶって殺してやる。」
ディアブロは停めてあるシヴィックのドアに手をかけた。
「よう、ダーリン!」
「何っ⁉」
そこには本物のユウキが上半身裸の姿で乗っていた。
プスンッ
「うっ…」
「終わりよ!」
フローゼルがディアブロの脚を撃ち抜いた。
倒れたディアブロの前に“ユウキ”が立っていた。彼の姿はゾロアークの姿に変わった。
「貴様っ!」
グサッ
カルメンは鋭い爪でディアブロの体を突き刺した。
「あんたは私の父さんと母さんを打ち殺し、何の抵抗もできない弟たちを溶かした。あんたも溶かしてやる。」
ディアブロを大きな口に収めるとゴクリと呑み込んだ。

死体の山に火をつけると彼らはその場を後にした。








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