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惨劇の幕開け

*流血描写に注意


時刻は午後3時、僕は少し遅めの昼食を取るためヴィクターとサンドウィッチの売っている自販機へと向かった。

「今は食堂が工事中で使えなくて…自販機しかないんんですが、何にします?」
「ツナサンドにします。」

戻る途中、ヴィクターはこちらに向かってくる別の職員に声をかけた。
「紹介します。新人のジムです。」
「どうも、ジム・チェンです。よろしく。」
「ハルです。日本から来ました。」

簡単な自己紹介の後、ジムは押していた実験器具の乗った台車を再び押して歩き始めた。

僕は先程の席に戻るとツナサンドを食べペットボトルの水を飲んだ。机の上のSIG SAUERの銃の分解図を見ていてあることに気がついた。そこで机の引き出しに手を掛けたが鍵がかかっていて開きそうもなかった。おそらく入っているのは銃か他の職員のIDカードだろう。

しばらくすると再び睡魔が僕を襲った。


数時間後、目を開けた先の窓は暗く、街灯の薄黄色の明かりがそこから差し込んでいた。
「ホテルまで送りますよ。」
ヴィクターが心配そうにそう言ってくれた。
「大丈夫です。」
「じゃあ、出口まで…」
「ありがとうございます。」

その時、僕やヴィクターそして他の職員はとある無線を聞いた。
『第1隔離部屋から被験体が脱走!仕留めたが、念のため特殊部隊の応援を頼む…』
モニターには銃を構えた警備員と腰を抜かしてしまっているジムの姿だった。そして、ジムの目の前に血を流して倒れていたのはどす黒くボロボロになった白衣を着た女性だった。
警備員が腰を抜かしたジムを立たせようとした時、モニターは僕たちにとても信じがたい映像を見せた。撃たれて倒れたはずのその女性があたかも何事も無かったかのように立ち上がると警備員に襲いかかり、彼の首の肉を食いちぎっていたのだ。

「何てことだ⁉ ありえない!」
モニターを見ている全員が口々にその様なことを叫んでいた。

「逃げろジム!」
ヴィクターは叫んだが、モニター越しにその声は届かなかった。

モニターは更に、その女性がレシラムに姿を変えジムを丸呑みにし、こちらにニヤリと不気味に微笑みかけるところまでをも映していた。



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