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デトロイト |
デトロイト:ミシガン州:アメリカ合衆国
大学の授業が終わるとカルメンはタクシードライバーの仕事に取りかかる。そうして稼いだ金の何割かをメキシコの家族へ送っていたのだ。 ある日の夜タクシードライバーの仕事が終わったカルメンは、自分の車に乗り換えてケイレブととある場所に向かった。そこは廃工場で、先にユウキとフローゼルが着いていた。 「よし来たな。」 「ええ。ルールは?」 「この周りを2周先に回った方が勝ちだ。」 「それだけ?ねぇ、賭けしない?」 「賭け…いいぜ。」 「あんたが勝ったら、私があんたに200ドル払う。でもあんたが負けたら、明日の朝まで私の腹に入ってもらうから。」 「異議なし。」 レースはスタートした。 追い抜くことの難しいコースで、カルメンの車の目の前をユウキの車が走っていた。2周目に入ってもやはりユウキの方が早くカルメンはその後ろにぴったりとついていた。そして急カーブに差し掛かったとき、ユウキの車のタイヤが砂利で滑り少し大回りになった。カルメンはそこを見逃さなかった。ユウキより小回りし、見事ユウキの先に出た。 「まだまだ詰めが甘いわ。」 そのままゴールした。 「クソ、負けた!」 「あんた、もなかなかやるわね。でも今回は相手が悪かった。」 「で、どうすんだ?食うのか、俺を?」 「約束だもの。」 ユウキは車の鍵をフローゼルに渡した。 「俺のGT-R乗れるか?」 「免許はあるわ。」 「なるべく傷つけないでくれ。」 「わかってる。」 そう言うとフローゼルはユウキの車のエンジンをかけ、走らせた。 「じゃ、また明日ね。」 カルメンはユウキを見てニヤリと笑った。 「あんた中国人?」 「日本人だ。」 「車好きなの?」 「もちろん。親の影響さ。君はニカラグア出身だっけ?」 「メキシコよ。」 「メキシコ…か…お前が散々無茶した場所か、ケイレブ?」 「無茶じゃない、人助けだ。」 「ねぇ、あんたたちもスペイン語喋れるの?」 「少しはな。」 10ほど話した後、カルメンはユウキに先程よりも近づいた。 「お腹も空いた事だし、そろそろ…」 「好きにしてくれ。」 「本当に私の好きにしていいの?」 「……血が出ない程度なら構わない。」 カルメンはユウキの首筋をベロリと舐めた。 「美味しい…タコスより人間の方が美味しいわ。」 「俺もメキシコ料理は大す…」 あむ…ごくん… 言い終わらないうちにユウキは頭を咥え込まれ、呑み込まれてしまった。 |
20/07/01 11:50 Haru & José(Pepe) & Javier
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