とある双子
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- 連絡会 -

「またよ。もう1人やられたわ……ここはベイルート、それともモガディシュ?」
バラライカは葉巻を吸いながら悪態をついた。

「よせよバラライカ…」

「だからこうして連絡会を持ってるんだ…共存の時代だ。流血と銃弾の果てにようやく手にした均衡は大事にしたいね、ミス.バラライカ…」

「おや、ミスター.張(チャン)…私がいつ言ったのかしら、共存を求めているだなんて…」

「吹くじゃねぇかフライフェイス…田舎者のイヴァンが女王気取りとは笑わせるぜ…ソフォズに帰って芋でも掘ってやがれ…」

「イタ公の腹わたってのはブタと同じ匂いがするみたいね。本当かしらヴェロッキオ?」

「テメェ…」

「2人とも口を慎め。何の為の連絡会だ…たしかに我々には互いに忘れられない遺恨がある。だが、現在は相互利益の為に協力し合う時代だ。それぞれの商売の足しになればなんでもいい。くだらんメンツなど犬に喰わせろ。それがマフィアというものだろう?ミス.バラライカ、コイツは初耳だろうが…こっちの手の者もやられている…14K と直属の幹部が1名…ラチャダストリートの売春店で……手口はお宅と一緒さ。」

「どういうことだ、張⁈……天秤を動かそうとしてるものがある…アブレゴ!私を見ろ!」

バラライカは紅い眼をコロンビアンマフィアのアブレゴへ向けた。

「冗談はよしてくれ、バラライカ!たしかに、アンタの所と揉めたことはあるが、手打ちはとっくに済んでるはずじゃねぇか⁈」

「では、アブレゴ…真犯人についてヴェロッキオに質問を…」

「ふざけんじゃねぇよ、フライフェイス!」
イタリアンマフィアのヴェロッキオがタバコの吸い殻を床に叩きつけた。

「ウチだって、手配手が1人やられてんだ…」

「これで死体が9つになったわね…どれも身体の一部が無いのばかり…犯人は捕食者…」

「張、これは町の者の殺しじゃねぇ、流れ者の仕業だ………この町の仕組みを知らない奴だ。」

「では、この事件は外部勢力の仕業と断定して…連絡会は連携して犯人を狩り出そう。共同で布告も出す…誤解による流血を防ぐ為だ…意義はあるか?」

「くだらないな、茶番だわ…」

「なんだとテメェ…」

「軽率は控えてくれ、バラライカ…この町ごと吹っ飛ばすのは君の本意ではないはずだ。」

バラライカはコートを着て、もう一度張の顔に紅い眼を向けた。

「ふん、親睦会のつもりか、ミスター.張…お次はジン・ラミーでもやるのかね?私が今日ここへ来たのはなぁ…我々の立場を明確にしておく為だ。我々ホテルモスクワは行く手を遮る全てを容赦しない。それを排撃し撃滅する…親、兄弟…必要ならば飼い犬までも殺す…」

それだけ言うと部下と共に去っていった。

「やれやれ…」
張は一服つけた。
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