Agua y Luz

ここはアンダルシア地方のとある村。

小さな村で人はそれほど多く住んではいない。

その村には大きな湖がある。その湖の水は青く澄んでいて、多くの種類のポケモンがそこに住んでいる。

ある日、この村に住む少年ハイメはいつものようにパティオで日光浴をした後、絵を描くためにキャンバスと絵の具を持って湖畔に座り湖を眺めつつ遠くの山の絵を描いていた。

5月のそよ風がハイメの顔を撫で、奏多にヒブラルタールの岩山を望む湖畔に安らぎを運ぶ。畑のヒラソルはまるでそれを歓迎するかのように揺れている。

アンダルシアの夏は暑く乾燥している。ハイメは絵を描き終えると家に戻ろうと道具をまとめた。

日に焼けてヒリヒリと痛む肌を気にしながら道具をしまっていたとき、パンッと何かが弾けるような音が聞こえた。

外に出て音のした方を見ると、ライフル銃を肩にかけた男が湖から遠ざかっていくのが見え、湖には白く長い身体を持つ何かが漂っていた。そしてそれは力なく泳いでいるようにも見えた。

ハイメは父親のアントニオを呼んできた。

アントニオは空気で膨らむゴムボートを取り出して膨らませると、湖に入り舵を取った。元海軍の医者だったアントニオはそのポケモンに近づいてスピードを合わせた。

そのポケモンの腹部には出血があった。

「撃たれたのか。」

ハイメはバッグからモンスターボールを取り出して、そのポケモンの身体に優しく当てた。そのポケモンがボールの中に入ったのを確認して、2人は家へそれを持ち帰った。

「父さん、この子は何て名前のポケモン?」

「ミロカロスというポケモンだ。」

「大きいね。」

アントニオたちは4、5台繋げた仮設のベッドの上にミロカロスを寝かせた。注射器とメスを準備し、麻酔薬を探したがあったのは人間用の物だけだった。

「弾は7.62mmのライフル弾だろう。少し痛むが我慢してくれ。」

メスが身体に入れられた途端、ミロカロスは目を開けて顔を彼の方へ向けた。アントニオは素早く撃ち込まれた弾を摘出した。

「これが君を苦しめていた弾だ。最後に縫合だけさせてくれ。」

応急処置が終わると、安心したのかミロカロスは寝息をたて始めた。


翌朝、コンコンとハイメはミロカロスの寝ている部屋の戸をノックした。
「入るよ。」
ハイメが部屋に入ると、ミロカロスは顔を彼に向けた。ハイメの手には朝食と花瓶があった。

花瓶には小さなヒラソル、プレートにはトルティージャそしてチュロスとホットチョコレートがあった。

「僕が作ったんだ。一緒に食べようよ。」

「ありがとう。」

ミロカロスが言葉を発した。ハイメは少し驚いて目を丸くした。

「ミロカロス…か。もっとカジュアルな名前で呼んでもいいかい?」

「いいわよ。どんな名前?」

「ルシア…光って意味。あとは、アグア…そのまま水って意味…どっちがいい?」

「ルシアがいいわ。そういえば、あなたの名前は?」

「僕はハイメ…君を手術したのは僕の父さんのアントニオだ。」

「ハイメもアントニオもいい人ね。」

「ありがとう。さあ、早く食べよう。」

朝食を食べながら色々なことを話していた。
「ルシアは普段何を食べていたんだい?」

「イーブイ…あとは、私より小さいポケモンよ。でもイーブイ系は絶品なの。」

「ええ……す、すごいね。」

ハイメは目の前の白く美しいポケモンが大きくて怖いポケモンに思えてしまった。ルシアは楽しげに自分の食事について話していた。

「ハイメは何か趣味はあるの?」

「しゅ、趣味…ぼ、僕の趣味は絵を描くことと音楽を聴くこと、あと読書かな。」

「色々あるのね。どうしてそんなに怯えてるの?私の話怖かった?」

「少しね。」

「そうだ、どんな音楽を聴くの?」

「僕が今ハマっているのはレゲトンだよ。一曲聴かせてあげる。」

ハイメはスマホでDaddy YankeeのDuraという曲をかけた。彼らはノリノリでそれを聴いていた。

「君もDuraだよ。君は最高だ。」

「嬉しいわ。」


昼前、ハイメはキャンバスと絵の具を持って湖畔に座り絵を描いていた。その時、目の前の茂みがガサッと動いた。

「君の名前は何ていうんだい?」

「僕はハイメ。君は?」

「俺はフローゼルっていうんだ。いつもここで絵描いているよな?趣味かい?」

「そうだよ。」

「おお、かなり上手く描けてるな。」

フローゼルはハイメの絵を見て驚いていた。しかし、ハイメが足を伸ばした途端、フローゼルはハイメの両足を掴んだ。
「これを待ってたのさ。」

そして、ハイメを湖の方へ引っ張っていった。
「や、やめてくれ!何をするんだ⁉」

「へへへ、前からお前のこと美味そうだと思ってたんだよ。ほら、俺の仲間があそこにいるだろう?あいつはラグラージだ。いつも腹ペコでな、あいつと一緒にお前を食べてやろうとずっと思っていたのさ。」

「そんな…まだ死にたくない…」

「残念だ。哀れだな、ハイメ…」

近づいてきたラグラージが大口を開けたとき、ハイメは目を瞑った。


ハイメが目を覚ましたとき、ベッドの上にいた。隣には心配そうにハイメの様子を見るルシアの姿があった。
「大丈夫、ハイメ?」

「ルシア、僕を助けてくれたのかい?」

「ええ。もう大丈夫よ。」

ルシアの腹は少し膨らんでいた。

「ルシア…そのお腹…」

「お腹も空いていたし、あなたを助けられて一石二鳥だと思って…」

「なるほど…僕を食べようとしていたフローゼルは僕より少し小さかった。」

「湖に棲んでいるポケモンは大体が食い意地張っているの。だからよ。」

ハイメは顔をルシアから背けた。

「ル、ルシアも僕のこと食べようと思ってる?」

「……今の質問を本当にあなたのことを食べようって考えているポケモンにしたら……巻き付かれて、締め付けられて…嘲笑われるわよ?」

ルシアの長い身体がハイメの体にぐるりと巻き付いていた。ルシアはハイメと目を合わせたまま二重、三重と自分の身体を巻き付けていった。

「食べないよね…僕のこと…?」

「どう思う?」

ハイメは一切身動きが取れなかった。ルシアは自分の顔をハイメの顔にぐっと近づけて、ペロっと彼の頬をひと舐めした。ハイメは驚いてヒッと声を上げた。

「ふふ、冗談よ。」

「もっと…もっと……舐めていいよ。」

「本当にいいの?」

「うん。実は気持ちよかったんだ。あと……食べられてみたい…かも」

ルシアはハイメにちょっと待っててと言うと、腹の中で拘束していたラグラージとフローゼルを吐き出した。

「悪かったよ、ミロカロス。ハイメがアンタの友達だと分かっていたら、あんな事しようとなんて思わなかったさ。」

「本当にそう思ってる?」

「ああ…そうさ(食べてみたいが)」

2匹はハイメに謝った後湖へ帰っていった。

ルシアは再びハイメに、今度は先程よりややきつく四重、五重と巻き付いた。顔が辛うじてルシアのとぐろから出ていた。

今彼女が彼をどう見ているかなど誰にも分かり得ないだろう。

「ルシ…」

ベロリ…

言い終わらないうちにルシアはハイメの顔を舐めた。はぁ〜と熱い彼女の吐息がハイメの顔に吹いて吹きかけられ、彼はブルっと震えた。気づけば彼は彼女により強く締め付けられていた。

あむ…ぐちゃり…

ルシアはハイメの上半身を咥え込み、大きな舌で舐めまわしていた。

10分ほど経ったとき、彼女はハイメを呑み込んだ。

ハイメは彼女の腹の中で柔らかな胃壁に包まれ、快楽が彼を眠りへと連れていった。



陽が少し傾いた午後3時ごろ、ハイメはベッドの上で目を覚ました。

「すやすやと気持ち良さそうに眠っていたわよ。」

「ありがとう、ルシア。」

「……ハイメ……もしよかったらまた食べさせてくれる?」

「もちろんだよ…」

それから彼らは昼食を取り、楽しいひと時を過ごした。




FIN

パティオ:中庭
ヒブラルタール:ジブラルタル
ヒラソル:ヒマワリ
Agua y Luz :水と光

19/12/02 14:44 Haru & José(Pepe) & Javier

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