連載小説
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脱走
カナダのバンクーバーにある研究所に送られた彼女は、実験材料となっていた。
防犯カメラには、50口径にも耐えられる防弾ガラス越しに、研究員に唸るレシラムの姿が記録されていた。

ある日
新人の研究員がその研究所に入った。
その新人の主な仕事は実験結果の記録だった。
次の日から実験の準備に取り掛かることになっていた。

次の日の夜
準備を終えたその新人はレシラムのいる隔離部屋を通りかかった。
何気なくガラス越しに中を見ると、おかしな光景を見た。
所々赤黒くなった白衣を着た女性が中に居たのだ。
彼女はその研究員の方へ向かって来た。
「ここから出して…お願い…」
何も知らないその研究員は大変だと思い、扉を開けてしまった。
「大丈夫ですか?どうしてあの中に…」
そこに、見回りの警備員が来た。
警備員はその女性と研究員が一緒にいるのを見て、顔を真っ青にさせた。
「そいつから離れろ!すぐに離れろ!」
研究員は少し後ろに下がった。
ズダンッ ズダンッ…
あたりに返り血が飛び、胸を撃たれた女性がその場に倒れていた。
「おい、大丈夫か?ケガはないか?」
あまりの出来事に研究員は何も発することが出来なかった。
「第1隔離部屋から被験体が脱走。仕留めたが念のため特殊部隊の応援を頼む。」
(了解)
警備員が無線機で状況を報告した。
「早くここから出ろ。」
座り込んでしまっている研究員を立たせようとしたとき…
ガブリ…
撃たれたはずの女性が警備員の首に喰らい付いていた。
警備員はその怪物を引き離そうとするが酷くなる一方だった。
人間の姿をしたその怪物は顔やその汚れた白衣をさらに紅く染めていた。
その警備員が再び動くことはなかった。
真っ赤になった顔を上げ、研究員を睨みつけた。
人間の姿からレシラムの姿へと変化した。
「嘘だろ…そんな…」
「うふふ…びっくりした?」
レシラムはその研究員の方に寄ってきた。
「た、食べないでください。」
「残念ね。私を閉じ込めた人達は、全員生かしておく気は無いの。そう言うことで…」
バクリ
声を上げることもなく、研究員は呑み込まれてしまった。
やがて、10人ほどの特殊部隊が到着した。
「射殺しろ。」
ズダダダダダダダ…
銃声が止み、隊員の悲鳴が聞こえた。
そこにはサブマシンガンを握ったままの片手が落ちていた。
「手榴弾、行くぞ!」
ズドン
凄まじい火力の火炎放射が隊員達を襲い、その場に立っている隊員はいなかった。

「鎮圧したのでしょうか?」
研究室に立て籠もっていた研究員が慣れない手つきで拳銃を構えながら、外に出た。
ズダダダダダ…
数十発の弾が研究員の体を突き抜け、ガラスにめり込んだ。
汚れた白衣の女性は倒れたその研究員の手から拳銃を奪い、研究室の中に入った。
「た、頼む…殺さないでくれ…」
「誰があなたの言うことをきくと思う?」

乾いた銃声の後、彼女は次々と研究員を襲っていった。
「メインディッシュのボルシチを食べに行かなきゃね…ふふふ」
彼女はまたレシラムに姿を変えて夜空へと舞い上がった。










17/10/01 23:50更新 / Haru & José(Pepe) & Javier
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