連載小説
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5
舌の上に飛び込んだ印象は「ふかふか」でした。

少し堅くてかなり弾力のある、例えるならば焼きたての小麦のパンのような感触。

思わず体全体を使って抱きついてしまいました。
そのまま柔らかな感触を味わっていると、舌がグニグニと動き始めました。

私の体を包み込むようにして。

まるで私の全身をマッサージするかのように。

ゆっくりと、丹念に。
恐らく、銀狼様が気を利かせてくださったのでしょう。
心地よい愛撫に身をゆだねていると、口の外からシルガさんの声が聞こえました。

「舌を頬張ってみな。美味しいよ〜」

「ふぁい?!」

ほ、頬張るって!
思わず間の抜けた変な声がでてしまいました。
銀狼様はグルルと不満そうに唸られましたが、ため息とともに許可の意を示してくださいました。

「し、失礼します」

思い切って口を開け、いっぱいに頬張ってみました。
味はしませんが、弾力のあるその噛みごたえは確かに美味しいです。

もぐもぐと頬張っていると、銀狼様が喉をうならせて合図をされました。
これから飲み込む、ということでしょう。
直後、私は舌によって喉へと導かれました。

喉はせまく、私の体は四方八方からぎゅうぎゅうと圧迫さながらすべり降りていきます。

少々息苦しいですが、舌とはまた違った種類の全身愛撫。とても気持ちいいです。

長いような短いような食道を通り抜け、私は胃の中にボチャンと落っこちました。

中は広く、ちょっとした部屋くらいの大きさがあります。

「よし、そこに仰向けに寝転がりな」

シルガさんの言うとおりにすると、背中の辺りの胃が動き出しました。
そしてそのまま、私の後頭部や背中、太ももは床へと沈んでいきました。

体を支える肉の床に身を任せ、力を抜いて大の字に寝転がる。

まるで、肉でできた池に浮いているよう。
うっとりと目を閉じかけると、シルガさんと銀狼様の会話が耳に飛び込んできました。

「泡風呂、やってあげたら?」

「疲れるんだがな…まあいいか」

あわぶろ?

あわのおふろ?

そんなことをぼんやりと考えていると、急に私の沈んでいる胃の床が動き出しました。  

それまではくぼみのようだったものが、大きくへこんで穴のような形状に。
私の半身がすっぽりと収まってしまいました。

何事かと思っていると、突如、周囲から液体が染み出してきました。

これって胃液!?そう思い、パニックになって立ち上がりかけたかけた時。銀狼様とシルガさんの声が響きました。

「安心しろ、溶けたりはしない。酸性だがあまり強くない、例えるならラムネ水のようなものだ」

「あったかくて気持ちいいんだよ。浸かってみな〜」

そう言われ、こわごわと体を穴に沈めました。

その液体は暖かく、シュワシュワと細かい泡が私の体を包みます。

なるほと、これはとても気持ちいい。
肩の力を抜き、体をもたれかからせます。

ぼんやりとまぶたが重くなっていくのを感じながら、私の意識は徐々にとおのいていきました。

これで私も被食フェチ。そう思ったのを最後に、私の意識は暗闇へと沈んでいきました。
13/10/18 00:57更新 / 兜燐
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■作者メッセージ
次回、完結です。

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