連載小説
[TOP] [目次]
帰還
 「…隊長!」聞き慣れた声が聞こえる。ギル…?「…隊長!」今度は、ナナの声だ。「…隊長!」シエルの声。そうか…私は、生きている。「うう…ん。」私は目を覚ました。雪に反射された太陽の光が眩しい。私は血まみれの服を着たまま、何事も無かったように神機の姿をしているロボに抱きついていた。ギルが介助に入る。「よく耐えたな!こいつを羽織れ!」私は大丈夫と言おうとしたが、用意された毛布に包まれる。シエルも間髪入れずに指示を飛ばした。「ナナさん、周辺を警戒してください!ギル、救護班の護衛を頼みます!」救助活動は手早く行われ、エンジンを回したまま待機している輸送ヘリに運び込まれた。私以外の生存者がいない事を確認して来たシエルとナナが最後に乗り込み、ヘリは高速で離脱した。「夢…だったのかな…。」

 フェンリル極東支部の病室へ運び込まれた私は怪我の手当てを受けた。重症だったはずの傷は一晩のうちに大きく回復しており、低体温症や凍傷などの傷病も見られなかった。そして救助から1日と少しで退院の許可が下り、私は病棟を降りた。見舞いに来てくれた神機の整備士から、ロボは特にダメージを受けた箇所は無く、今後の使用には問題ないという旨の話を聞いていた。
 あの夜の出来事は、夢じゃない…。そう確信していた私は深夜、誰も居なくなった神機保管庫でロボと向き合った。普通の神機の姿をしている状態では当然の如く、意思疎通はできない。…私はそっと、ロボへ手を差し伸べた。
16/12/09 00:29更新 / ズィーベン
戻る 次へ

TOP | 感想 | RSS

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35b